この調子で4作目というのは微妙かも…
企画段階ではとても売れないだろうと思われていた、ディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」をモチーフにした映画「パイレーツ・オブ・カリビアン – 呪われた海賊たち」は予想に反して世界的な大ヒット作となり、それを受けて製作された続編「デッドマンズ・チェスト」はさらに好評を博してまさに記録的な作品となりました。今度は当初からあと2作の続編を作って三部作とすることが決まっていたため、一部並行して3作目の撮影も進められていたということで、前作から1年を経ずして3作目の「ワールド・エンド」が公開されることになりました。それが昨日のことだったのですが、私はミーハーにもその公開初日に映画館へ足を運び観てきてしまいました。本当は仕事が立て込んでいてそれどころではないような気もしたのですが、その代わりに今日、休日出勤して仕事を進めてきたので良しとしましょう。
さすがに話題作の初日、金曜の20:30からの上映という社会人が仕事を終えてから観るにはちょうどいい回ということで、いつもは前日ならおそらく数人しか予約されていないe席リザーブもかなりの人数が利用していたようで、普段よりも2列前の席になってしまいました。またホールに入っても続々と人が集まってきていて、満席にはならないまでも8割くらいは埋まっていたのではないかと思われ、さすがの人気ぶりです。
ホールに入る前にチケットの半券を切られる際、「入場者プレゼントです」と名刺大のカードとB5版ほどの「『もう一度観たくなる』読本」とやらをもらいました。カードの方は「プレミアム携帯待受け画像など特別コンテンツをプレゼント!!」ということなのですが、前夜祭と初日の観客のみに配られるものらしく、ちょっと期待してアクセスしてみたものの見事に裏切られてしまいました…これなら自分で作った方がマシです。読本の方は表には「これからご覧になる皆様へ」とキャラクター相関図などがありますが、「映画ご鑑賞後にはがしてください」とシールで閉じられていました。開けてみると中の内容は確かにネタバレも少々あるので見ないでよかったような気がします。とはいえ大したものではなく、これを読んで「もう一度観たくなる」かというのは甚だ疑問です。
されそれはともかく映画本編の方ですが、前作「デッドマンズ・チェスト」の出来が良すぎたということなのかもしれませんし、期待しすぎたということもあるのかもしれないのですが、肩すかしを食らったような感じでガッカリとは言わないまでもちょっと外してしまったのではないかというような印象です。映像の方は前作同様、あるいは前作以上にダイナミックで美しいのですが、脚本が複雑すぎる割に深く描かれていないのでよくわからない、というようなことかもしれません。またJack Sparrowが閉じ込められているDavy Jones’ Lockerなる地獄の狂気がコミカル過ぎるのと、現実世界とあの世との境が曖昧ということもあると思います。まあ、これはわざと曖昧にしているような気もしないではありませんが、なかなか理解するのは難しいのではないでしょうか。
とはいえエンターテイメントとして、ディズニーランドでその世界に浸るようなつもりで観る分にはいいのかもしれません。きっと深く考えずにこの作られた世界観を楽しめばいいのでしょう。単なるファンタジー、アドベンチャーではなく、複雑に絡みあった人間関係といくつもの裏切りという大人が楽しめる要素もある、というより大人向けの映画ですね。私も子供に観せたときにどう説明すればいいのかというような内容も沢山あってどうしようかと思っているところです。
映画には音楽が付きものであり、その音楽によって映画の全体としての出来栄えも大きく左右されるのは間違いないところだと思います。この作品の音楽は前作に引き続きHans Zimmerによるものですが、この音楽によって海賊の世界が壮大なスケールのものに引き上げられていて、海賊たちが勇猛に見えているのではないかと思っています。ウチの長男も前作のサントラが大好きなようですが、今回はまだCDがレンタルできないようなので買ってしまおうかとさえ思っています。
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ (2007/05/23)
ISBN/ASIN:B000O5B18Q
映画を観る前から気になっていたのは中国に実在した海賊(倭寇)のSao Feng(嘯風)を演じるChow Yun-Fat(周潤發)が伊武雅刀に見えて仕方ない、ということだったのですが、そんなのは私だけでしょうか?スクリーンで観ても、その後で写真を見てもどうしてもそこから離れることができません。存在感のある役所であり演技であっただけにしょうもないところが印象的です。その他ではNaomie Harris演じるTia Dalmaが気になっていたので今回は一つの鍵となる役になっていてちょっとだけ嬉しかったりもします。Jack Sparrowの役作りの参考にしたというKeith Richardsも出演していますが、さすがに堂々としていて貫禄があり、素人っぽさは全く感じられませんでした。
あと気になったのはなっちの字幕ですね。「ブラック・パール号」をただ「パール」とするのは字数が限られているから仕方ないということなのでしょうか。固有名詞は大事にしてもらいたいと思うのですが…映像の方では妙なアジア風の海賊船に鳥居が付いていたりするのも気になりましたが、それは欧米人のアジア観なんてそんなものだということなので放っておくことにします。
[2007-05-28 追記]
書き忘れていましたが、このシリーズのお約束通りエンドロールのあとにワンシーンあります。上記「もう一度観たくなる」読本にも
本編はエンドロールが終わるまでじっくりとご鑑賞ください。
と強調されていたこともあってか、私が観たときは9割ほどの観客が最後まで席を立たずに待っていました。それほど大したものではありませんが、全2作のものよりは意味のあるシーンなので、ぜひお見逃しなく。