The Golden Compass

ハリー・ポッター」のヒットのヒットがきっかけでファンタジーが受け入れられることがわかったからなのか、本でも映画でもファンタジーものが数多く出てくるようになり、その中からヒット作がいくつも生まれています。「指輪物語」や「ナルニア国物語」といった古典的作品はそれぞれ映画化されてヒットし、また「ドラゴンライダー」のような新しい作品も生まれ、小説のヒットのあと第一作の「エラゴン」が映画化されています。今回はこの「エラゴン」と同様、新しい小説の映画化作品である「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を子供と一緒に観てみました。

ライラの冒険 黄金の羅針盤 コレクターズ・エディション(2枚組)
監督::クリス・ワイツ
ギャガ・コミュニケーションズ (2008/07/18)
ISBN/ASIN:B0019R6L9M

この作品の舞台となっているのは私たちの世界とよく似たパラレル・ワールドの別の世界で、人々は皆1体ずつ動物の姿をした「ダイモン」と呼ばれる分身を持っています。ダイモンは本人とは別の人格を持っていて言葉により互いに意思の疎通ができますが、ダイモンが肉体的に苦しめられているときには本人も苦しみ、本人が死ねばダイモンも消えるというように密接な繋がりがあるようです。

主人公のLyra Belacquaは魔女に予言された特別な存在で、真実を知ることのできる黄金の羅針盤「アレシオメーター」を使うことができ、これを使って人々を救う宿命を帯びています。またこの物語の特徴的な登場人物は中盤から登場する鎧熊のIorek Byrnisonでしょう。鎧を着て戦うホッキョクグマの姿は相当な迫力があります。

この主人公のLyra役Dakota Blue Richardsはこの作品がデビュー作ということですが、それを感じさせないなかなか堂々とした演技なのではないでしょうか。またNicole KidmanがMrs. Coulterとして出演していますが、冷たく妖艶な雰囲気で存在感たっぷりです。

しかし、演技も映像も悪くないと思うのですが、脚本が何となく説明的で今一つのように感じてしまいました。一緒に観ていた子供もちょっと飽きてしまうようでしたし、せっかくのこの世界の特徴であるダイモンの存在を生かし切れていないような感じです。また、終盤も盛り上がりに欠けて、これから決着を付けに行くのかと思っていたら雰囲気がおかしくなり、そのまま「つづく」という感じで終わってしまったのでちょっとあっけなかったです。まあ原作が完全に3部構成になっているのでしょうからここで終わるのは仕方ないのだとは思いますが、どうも中途半端すぎるのではないでしょうか。

どうやらこの作品は原作で読んだ方がいいようなので、私もちょっと読んでみようかと思います。もともと児童向けに書かれた作品ですが、Wikipediaによると

当初は児童小説として出されたものの、ジョン・ミルトンの『失楽園』にも題材をとった、深い宗教的・哲学的内容が高く評価されており、大人の読者にも人気が高い。

ということなので、楽しむことができるのではないでしょうか…というより、いかにも私が好きそうな感じではないですか。