The Sentinelやっぱりその人だけは相手にしてはいけないのではないかと。

アメリカのシークレットサービスといえば大統領をはじめとする要人警護のエキスパートとして150年近い歴史を持つ組織です。アメリカの警察機構は複雑で管轄がよくわからないところも多々ありますが、現在のシークレットサービスの任務はわかりやすい方ではないでしょうか。

アメリカ大統領ともなるといつ暗殺されてもおかしくないような状況なので、その警護は24時間常に緊張を必要とする、精神的な負担も想像を絶するものではないかと思いますが、その任務に当たる人々はそれぞれ誇りを持って職務に取り組んでいることでしょう。今回はそんなシークレットサービスを中心に展開されるサスペンス作品「ザ・センチネル 陰謀の星条旗」を観ました。

ザ・センチネル 陰謀の星条旗
監督:クラーク・ジョンソン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2008/04/16)
ISBN/ASIN:B0014B8AAQ

Michael Douglas演じる主人公の大統領警護官Peter GarrisonはRonald Reagan暗殺未遂事件の際に身代わりとして撃たれた英雄的人物という設定になっていますので、実際に撃たれた警護官のTim McCarthyをモデルとしているのでしょう。冒頭ではReaganが撃たれる本物の映像が使用され、シリアスなムードを高めることになっています。

もう一人の主人公は24Jack BauerことKiefer Sutherlandが演じるDavid Breckinridgeで、Garrisonの教え子(protégé)かつ仲違いした元親友ということになっているようです。日本のウェブページでは24での知名度からKieferの方を前に出しているようですが、俳優としてはMichaelの方が色々な面で上なのではないでしょうか。

ストーリーとしては、Garrisonと親しい警護官が自宅前で暗殺され、その後Garrisonが情報屋から得た情報でシークレットサービス内部に大統領暗殺計画に関わる密通者がいることがわかり、その犯人捜しが続けられる中で大統領専用ヘリが撃墜されます。この時犯人にはめられたGarrisonは不利な状況証拠を突きつけられて犯人扱いされて追われることになり…というような感じです。ここでGarrisonが逃げ回りながらも真犯人を突き止めようと経験を武器に大胆ながら着実に調査を続けていくあたりが見せ場でしょうか。

しかし、Garrisonを窮地に陥れる発端となったのは身から出た錆というか、自業自得というか、いくら女癖が悪くてもよりによってそんな人と…というようなことなのですが、そのシーンになると突然昼メロのように安っぽくなってしまいました。そこで観るのをやめようかと私も一瞬思ったほどですが、他のシーンはKieferの顔つきが醸し出しているシリアスな雰囲気なのでちょっともったいないような気がします。

それにしても日本にいると要人暗殺というようなことはなかなか想像できないので、サミットなどの物々しい警備も「本当にそんなことが必要なのか」と思ってしまいますが、銃の所持が認められているアメリカでは警護も大変ですよね。やはりどうしても矛盾を感じてしまうものですが、開拓者の子孫であるアメリカ人にとっては譲れない権利なのでしょうか。