The Nightmare Before Christmasアナログにはアナログの良さが。

秋の夜長に名画はいかが、ということなのかどうか知りませんが、「TSUTAYAが選んだ名作DVD100選100円」というキャンペーンがTSUTAYAで現在実施されています。TSUTAYAも不景気の影響を受けて苦しいのか、最近は半額クーポンセールも行われなくなってしまいましたが、100円で一週間借りられるというのはなかなか破格の安さです。まあ、名作と言われる作品は在庫が豊富ながら時間が経って一通り借りられてしまったものだったりして棚の肥やしにしかなっていないようなものだったりするのかもしれず、償却が終わっていれば眠らせておくよりはどんどん貸し出した方がいいということなのでしょう。

私も普段はどうしても新作ばかりに目が行ってしまい、いつか観たいという旧作があってもついつい後回しにしてしまっていたりするので、こういうときがチャンスです。100選の中にそういうものが含まれているかどうかが問題ですが、先日読んで面白かった「恐怖と愛の映画102」という本の中で紹介されている102もの作品の中にいくつも観たくなったものがあり、かつさらにTSUTAYAの100選に含まれているものがあったので、先日はいっぺんに5作借りてきてしまいました。さすがにそれを立て続けに観ることはできないので、ゴニョゴニョしてタイムシフトして観るわけですが…大きな声では言えません。

それはともかく、これらの作品の中の一つ「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を観てみました。言わずと知れたミュージカル仕立てのストップモーション・アニメーションの名作で、未だに観ていなかったのかと思われるかもしれませんが、観ていなかったのだから仕方ありません。というより、今回借りたのは全て名作とされているものなのですから、そんなものばかりです。

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス [DVD]
監督:ヘンリー・セリック
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2005/09/07)
ISBN/ASIN:B0009QX4NU

ストーリーは大して複雑なものではありませんが、ハロウィンの夜に人々を怯えさせ驚かせることを生き甲斐にする住人が住む「ハロウィン・タウン」が舞台という設定は非常にユニークです。この町の指導者的立場のパンプキン・キング、Jack Skellingtonが主人公で、毎年同じことの繰り返しであることに虚しさを感じていたある日、不思議な扉を開けて「クリスマス・タウン」を見てその美しさ、暖かさに触れた彼は…というような筋書きは全く絵本のようです。

原案・原作はTim Burtonで、これが以前観た「ティム・バートンのコープスブライド」に続く作品となるわけですが、いかにもTim Burtonらしいホラーとファンタジーが混ざり合った独特の世界観を持った、非常によく似たカラーの作品です。アメリカでの公開は1993年ということですから、現在のようにCGでどんな映像でも作れてしまうという時代ではありませんが、デジタルではできないことを職人技で作り上げてしまっているというのが凄いことです。登場人物の動きは実に生き生きとしたものです。ちなみにストップモーション・アニメーションといえばRay Harryhausenというのも知ってはいますが、Harryhausenの作品もちらっとしか観たことがありません。まあさすがにここまで来るとレンタルはおろかDVD化されているかどうかも怪しかったりはしますが。

また、この作品で素晴らしいのは映像だけではなく、Danny Elfmanによる音楽と歌です。ミュージカル作品における音楽の重要性は言うまでもないことですが、この作品の場合もいかに映像が素晴らしくてもそれに見合った音楽が付けられていなければ作品全体としての価値はそれほど高いものとされなかったでしょう。この作品以前からTim BurtonとDanny Elfmanとは組んで仕事をすることが多かったようですが、この作品では主人公Jackの歌パートまで担当しており、本当の主役はDanny Elfmanと言っても過言ではないかもしれません。

ということで、これまでJack Skellingtonが描かれたキャラクター商品などを見て可愛いなと思っても、映画自体を見たことがなかったのでどんなストーリーでどんな人物なのかわからなくて手が出せなかったのですが、これでやっとスッキリしました。まあいずれにしてもいい年したオッサンが嬉々として買うようなキャラクターではないわけですが。