ホノカアボーイワイキキとは違うここもハワイ

現代のハワイというと、年末になるとなぜか芸能人らが大挙して訪れるリゾート地であり、充実したショッピングモール等のおかげで都市型リゾートのイメージが強いように思いますが、それはオアフ島の、しかもワイキキ周辺のことであって、オアフ島でもレンタカーを借りるなどして北部に行って見るとのどかなものですし、マウイ島やハワイ島ののんびりした空気こそが本来のハワイのようです。私もハワイには2度行ったことがありますが、オアフ島以外の島には行ったことがないので、次の機会があればぜひ行ってみたいものだと思っています。

また、ハワイには多くの日系人が住んでいるというのが日本人にとっては親しみやすさに繋がっているのだと思いますが、この移民はハワイがアメリカに併合される前の王朝時代に行われたもので、彼らにも長い歴史があります。今回は、ハワイ島にあるハワイ移民の町ホノカアを舞台にした、日系移民の老人と日本から来た青年の交流を描いた映画「ホノカアボーイ」を後輩Mに勧められて観てみました。

ホノカアボーイ [DVD]
監督:真田敦
ポニーキャニオン (2009/09/16)
ISBN/ASIN:B002D11UJE

ほとんど邦画は観ない私なので出演俳優らについても詳しくないのですが、この映画には倍賞千恵子松坂慶子という大女優が出演しており、さすがの私もこの人たちくらいは知っています。この作品には日系移民の偏屈な老女として登場する倍賞さんですが、彼女の可愛らしいことといったら…女性はいくつになっても可愛らしさを失わずにいられるということを再認識します。

舞台となっているホノカアの町はハワイ島の北に位置し、時間の流れが止まっているかのようなところですが、海の美しさもまた素晴らしいものです。この海見たさに何度も訪れてしまう人もいるのではないでしょうか。誰もいない真っ白な砂浜と真っ青な海、こんなところで暮らすことができるならそれこそ移住も考えてしまいたくなります。

物語はホノカアの時間の流れに合わせて淡々と、南国の暖かい空気の中でのんびりと進んでいきます。起伏も実になだらかで、これといったオチがあるわけでもなく、じんわりと暖かい気持ちになる、そんな映画です。強く何かを訴えかけてきたり、考えさせるような作品ではありませんが、それでもいいではないかと思うことができます。たまにはこんな映画もいいかかもしれません。

ただ一つ気になってしまったのが、最後に主人公レオが再びホノカアを訪れる際、なぜかスーツ姿だということです。社会人になっているのだということを表現しているのかもしれませんが、ハワイに遊びに行くのにスーツを着ていくという人がいるのでしょうか。ただでさえスーツ姿の人をあまり見かけないハワイで、上着は脱いでいるとはいえ日本人がスーツを着ているというのはどうも違和感がありました。