Google日本語入力これに対してジャストシステムはどう出るのか?

欧米人には不要でも、日本人がPCを利用する上でなくてはならないものがIMやIMEと呼ばれる日本語入力システムです。古くは略して「カナ漢」などとも呼ばれていましたが、多くはローマ字やカナキーで入力されたカナ文字を漢字に変換するもので、その変換精度によって日本語の文章の入力効率が大きく変わってくるため、一時期はいくつもの製品が存在してしのぎを削っていたものです。しかし、Windowsに標準のMS-IMEが付属するようになったため、わざわざ金を出してまでと思う人が増えたのか、今となってはジャストシステムATOK以外にはめぼしい製品がなくなってしまいました。

しかし、単に知らないだけのことなのだろうとは思いますが、MS-IMEの変換に満足してしまっている人の事が私にはとても信じられません。4年近く前にATOK 2006を購入するまで、私はMS-IMEに大いに不満を感じていて、長い文章を入力する気にはとてもなれず、SKKというアルゴリズムに頼らない入力システムを使用していたのですが、ATOKを購入して世界が大きく変わりました。カナのまま一気に文を入力してしまっても、そのまま変換すればたいてい一発で思い通りの、あるいは思っていたよりも的確な変換を行ってくれるその気持ち良さといったらありません。その2年後にはATOK 2008にバージョンアップしていますので、そのペースで行くとそろそろまたバージョンアップの時期でどうしようかと思っていたのですが、思わぬ伏兵が突然現れました。

それがGoogle日本語入力というわけですが、もともとGoogleの20%ルールから始まったプロジェクトだということですが、その後いくつものオープンソースの入力システムに携わっていたエンジニアなどが参加するようになり、彼らの技術やノウハウが結集されたものとなっているとのことです。

しかし当初の問題として、「64bit OSには対応していない」ということがあり、Windows 7のインストール時に64bit版を選択してしまった私は指をくわえて見ているしかなかったのですが、非常に多くの要望が寄せられたということでもともとの予定を大幅に繰り上げて64bit版がリリースされたということで、Google信者の私も早速インストールしてみました。

この文章もGoogle日本語入力を使用して入力しているのですが、さすがにATOKに一日の長があり、Google日本語入力では若干の誤変換があるのが気になります。しかし、「Web から機械的・自動的に辞書を生成」というだけのことがあって、その語彙の豊富さは引けを取っていないのではないでしょうか。特に最新の流行の言い回しなどには強そうですが、私は流行り言葉が嫌いで使わないのでその強みを生かすことができません。また妙な変換候補が出てくることがありますが、それはご愛嬌というものでしょうか。ちなみに今、「それはし」と入力したところで「それは仕様です」という候補が出てきましたが、私がそんな言葉を使うことはまず考えられません。

ATOKはユーザ自身が使う場合には何台のPCにもインストールすることができるライセンスになっているので、本来ライセンス的には職場のPCにインストールしても文句を言われることもないはずなのですが、私の勤務先では勝手にソフトウェアをインストールすることが禁じられており、また個人のライセンスのソフトウェアもインストール出来ないことになっていて、さらに代わりになる無料のソフトウェアがある場合にはまず購入することもできないので、仕方なくMS-IMEを使用している状態です。このせいで職場では文書を書く気力が著しく落ちているのですが、そんなこともなかなか理解してもらえません。今年入ってきた新人はATOKを買ってくれと言ったそうですが、あえなく却下されてしまったようです。しかしGoogle日本語入力なら無料ですし、なんとか許可が得られるかもしれないので、新人をまた炊きつけてみることにしましょう。今のところベータ版であるところが問題ですが…

ちなみに、このGoogle日本語入力がリリースされたから、というわけではないでしょうが、中国のBaidu(百度)からもBaidu Typeという「文字入力システム」がリリースされてきました。しかしながらこのBaidu Type、今さら「Windows XPのみ対応」ということなので私は試していません。ただでさえ一般の人にはあまり知られていないであろうBaiduなのに、Googleの影に隠れ、しかもXPのみというのではいったい誰が使うでしょうか。その性能についてはさっぱりわかりませんが、これではやる気が全く見られません。Windows 7の対応も目指して鋭意開発中、というのであればそれを明記しておくべきでしょうが、そういうわけでもなさそうなので本当にどういうつもりなのでしょうか。

まあそれはさておき、こうしてGoogleから無料で色々なソフトウェアがリリースされてしまうと、類似製品を販売していた企業はどうなってしまうのでしょうか。ユーザーにとってはもちろん無料の方が助かりますが、そのせいで倒産や撤退することになったりするのでは諸手を上げて喜ぶべきでもないような、複雑な思いになります。