The Towering Infernoまさに不朽の名作。

1974年の映画「タワーリング・インフェルノ」といえばテレビでも何度となく放映されているので、ちょっとした映画好きなら誰でも、そうでなくても多くの人が知っているであろう有名作品ですが、私が最後に観たのはそれこそ20年以上前のことではないでしょうか。私の場合は映画館で観た親が買ったパンフレットが自宅にあったこともあり、幼い頃から慣れ親しんでいるような感覚があります。さすがに公開から40年近くにもなるので地上波のTVでは放映されることも無くなったのでしょうが、先日BS2でアカデミー賞受賞作品特集か何かで放映されていたのを見つけ、録画して久しぶりに観てみることにしました。

タワーリング・インフェルノ [Blu-ray]
監督:ジョン・ギラーミン
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010/07/14)
ISBN/ASIN:B003OTDYM0

サンフランシスコにできた138階建ての超高層ビルで落成パーティが行われているさなか、電気系統の手抜き工事の結果となる火災が発生し、多くの過失が重なったことから大災害を招く中、奮闘する二人のヒーローの姿を中心に描いた作品…なんていうことは今さらご説明するまでもないでしょう。現代の作品ほど派手なアクションはありませんが、火災の広がりと現場に居合わせる人々のドラマを淡々と描いているところは、やはりこれだけ有名な作品として親しまれているだけのことはあります。現在の最新技術を駆使したリメイクという話も幾度となく持ち上がっているのでしょうが、この作品を超えるものでなければならないというのは大きなプレッシャーとなり、そのため未だに実現していないのかもしれません。

主演の二人、ビルの設計士Doug Robertsを演じるのはPaul Newman、消防隊長Michael O’HallorhanはSteve McQueenが演じているというのは何とも豪華なことです。助演の俳優陣もまた豪華キャスト揃いで、ビル火災というただでさえ製作費の嵩みがちなテーマなのに、非常に贅沢な作品です。それでもこれだけのヒット作となれば全く問題ないのでしょうが。

しかし、9.11のあとでは高層ビルでの火災というのはそれまで以上に現実味を帯びて感じられるのではないでしょうか。この作品ではあれだけの大火災となりながらなんとか鎮火しているわけですが、WTCは大変な数の犠牲者を出して崩壊してしまいました。もちろん9.11の場合は単なる火災ではないので同列に語ることはできませんが、どうしても連想せずにはおけません。炎の前に無力な人間の無残な姿をフィクションではあっても映像で見せつけられると、現実に沢山の人々が苦しみながら無くなったということについて考えてしまい、無邪気に楽しむことができません。

また同時に気になるのはブルジュ・ハリファの防災体制です。当然最新の設備で守られているのでしょうが、この作品のグラスタワーを上回る160階建て、最上階は621.3 mに位置するということで、万一の場合にはそれこそ大変なことです。脱出にはエレベーター以外の手段はないのでしょうが、十分な数のエレベーターが用意されているのでしょうか。この後もブルジュ・ハリファを上回る高さの超超高層ビルの建設が続々計画されているようですが、聖書に出てくるバベルの塔ではありませんが、いつか手痛い目に会うのではないかと心配してしまうも杞憂であれば良いのですが。