Comcastこういうところも日本とは違う。

国土の狭い日本ではテレビといえば地上波、最近では衛星放送もかなり一般的なものにはなって来ましたが、やはり圧倒的に視聴者数が多く番組も充実しているのは地上波放送でしょう。しかし、ニューヨークやシカゴなどの大都市圏を除くと視聴者がまばらに広がっているアメリカでは地上波放送というのは効率的ではなく、主流となっているのは衛星放送あるいはケーブルテレビです。日本では難視聴地域向けの放送形態ですが、日本の基準で言うとアメリカ全体が難視聴地域ということになるのかもしれません。

その代わり、このケーブルテレビの充実度は日本のものの比ではありません。プランによって見られるチャンネル数が違ってくることにはなるのは日本と同じですが、全体で何百チャンネルにも及ぶ中から最低プランでも百チャンネル以上、一体こんな中からどうやって見るべき番組を探すのか、そちらの方が大変ではないかという気がします。実際にはお気に入りのチャンネルをいくつか見つけたら、そればかりを見ることになるのでしょうか。

このケーブルテレビの回線を使って、インターネットの接続と電話のサービスも受けられることになるのですが、私は固定電話は不要と考え、テレビとインターネットだけ契約することにしました。契約する会社は住む地域によって自動的に決まってしまうことになるので、私の家の場合はComcastというところ、テレビのプランは最低に近いもの、ネットはちょっとだけ速いものを選ぶことにしました。ただ、日本に比べるとまだ高速回線は高いようで、100Mbpsのプランになると月$200程にもなってしまいます。

申し込みは不動産屋が代行してくれたのですが、設置工事の日時はあまり思い通りに指定することができず、結局3つ挙げた候補日以外になってしまいました。その前日になると自動音声で確認の電話がかかってくるのですが、これに出て確認しないと工事が流れてしまうようです。日本ではこんな所で自動音声など使わないものですが、このあたりの割り切りはアメリカらしいところです。

なお、申し込み時にはクレジットのヒストリーが必要で、私達のような駐在員の場合はヒストリーが無いのでデポジット(供託金)として$100ほど預けなければなりません。これも日本ではあまり考えられないことですが、アメリカではケーブルテレビ以外でもよくあることで、回収不能になった過去があるからこそなのでしょう。このデポジットは視聴開始1年後から視聴料を相殺する形か、1年以内に解約する場合は小切手で返却されるということですが、こういうものがちゃんと帰ってくるのかが心配になってしまうのもアメリカです。こちらが忘れていると回収し損ねる場合もありますので、ちゃんと覚えていなければなりません。

さて、工事は10時から12時の間ということだったので、会社は半日休暇を取って自宅で待機していると、10時半ごろにチャイムが鳴ったので思っていたより早いなと思いながら玄関に出てみると、なんとFBIの捜査官が。「知らないうちに何かやらかしてしまったか!?」と焦りながらIDも見せてもらいながら応対していると、どうやら隣の住人について調査しているとのこと。ホッとしつつ「まだ引っ越してきたばかりだから何も知らない」と言うと”Oh, brand-new!”と軽いリアクションで「じゃ、他当たるわ」と行ってしまいました。引っ越してきて早々こんな体験をするとも思いませんでしたが、IDはテレビや映画で見たものと少々違ったものの、短髪とサングラスはイメージ通りです。IDが違ったのはSpecial Agentではなかったからでしょうか。

その後またしばらく待っていると電話がかかって来ました。あまりに訛りがきつくて英語ではなくアラビア語か何かで間違い電話なのではないかと思ったほどでしたが、よくよく聞いてみると「30分以内に着く」とのこと。そう言いながら40分はかかるんだろうと思っていたら15分で着いて意表を突かれました。無口なまま黙々と作業を始めましたが、地下室の配線盤と壁の端子を行き来しながら結局45分ほどかかったでしょうか。船便で送ったテレビはまだ届いていないので確認できていませんが、インターネットは無事に開通しました。やはり日本で使っていた光に比べるとスピードは今ひとつ劣るようですが、通常のウェブブラウジングや動画のストリーミング程度なら全く問題ありません。これでようやく家族とのSkypeも使えるようになり落ち着きましたし、暇で暇で寝る以外どうしようもないということもなくなるでしょう。

作業員のスキンヘッドの兄ちゃんは、電話のやり取りで英語が通じないやつだと思われたのか終始ぶっきらぼうだったのですが、帰りがけに「コーヒーか何か飲んでくれ」と3ドル握らせてやると急に愛想良くなって”Thank you, sir. Have a good day!”なんて言いながら出ていくのだから現金なものです。こんな事ならいっそ先に渡してやりたいくらいですが、そうもいきませんよね。