British Landingミシガン定番の観光地らしいです。

ミシガンには日本でも知られているような観光名所というものがほとんど無く、日本から来た人を連れて行くにも手頃なところでは悪名高いデトロイトダウンタウンGM本社ビルフォード博物館くらいのところで、その他になるとちょっと足を伸ばしてナイアガラの滝にまで行ってしまいます。しかし、それもわざわざ見せたいというようなところがないだけで、もちろん住んでいる人にとってはそれなりに名所というものはあります。Frankenmuthしかり、Hollandしかりといったところですが、ミシガン育ちの米人同僚も「独特なところだからミシガンに住んでいるならぜひ行くべきだ」と言うのはミシガン州のアッパー半島とロワー半島の間の海峡の脇にあるマキノー島Mackinac Islandです。私もここには前から行きたいと思っていたものの季節を選ぶのでなかなか行けず、ようやく先週のメモリアルデーの休日を利用して行くことができました。

デトロイトあたりからは250kmほど北上したところになるので気温が若干低く、避暑地として人気の有るところです。この週末のミシガンはとても天気が良く、デトロイト付近は日中の気温が27℃まで上がったのに対し、マキノーでは18℃あたりまでしか上がらず、日向は太陽の日差しが強く、涼しい風が心地よいくらいでした。
Star Line Ferry
島へはロワー半島のMackinaw Cityかアッパー半島のSt. Ignaceからフェリーに乗って渡ることになりますが、私達はMackinaw Cityの方から乗ることにしました。フェリーの運航会社も3社あるのですが、接客がよく駐車場もフェンスで囲われていて安心、という米人のレビューを見てStar Lineという会社にしたのですが、確かに接客はフレンドリーで親切丁寧、駐車場は発着場のすぐそばで便利な上に、至近距離なのにシャトルバスが運行されていて楽ちんでした。また船に乗って動き出すと思っていた以上に加速が良くスピードが出るのでびっくりしたのですが、後ろを見てみると船体よりも高くまで水を吹き上げていてまた驚きました。ハイドロジェット推進だそうですが、こうして高く吹き上げる意味は何かあるのでしょうか。

船体は何種類かあるようですが、行きに乗ったものは3デッキあり、天気もいいし一番上のオープンデッキに乗ろう…と思ったのは実は失敗でした。予想以上にスピードがある上、水の上の空気は非常に冷たく、皆ブルブル震えながら対岸に到着するのを今か今かと待っていたような感じになってしまったのでした。

ところで、この島では自動車やバイクが禁止されていて、島内の移動や荷物の運搬は徒歩、自転車、馬車に限られているというのが特徴的なところです。船を降りて発着場から出ると賑やかなダウンタウンの通りになっているのですが、道路を行き交うのは20人位乗れる大きな馬車で、それを大きな荷役馬が引いています。この光景は確かに独特でした。この馬車に乗ると島内の観光スポットをいくつか周ってくれるのですが、私達はこれには乗らず、レンタサイクルを借りることにしました。
Arch Rock
レンタサイクルは私と妻が1台のタンデムに乗り、子供達はそれぞれ普通の自転車に乗りましたが、タンデムは小回りが効かず、島内の内側にある坂を登ったり、林の中の小道を走ったりするには不向きでした。マキノー島は米英戦争の戦場となっており、マキノー砦という史跡もあるのですが、砦というのは高台にあるもので、そこへ至るまでにはちょっとした急坂を登らなければなりませんでした。

しかし砦には子供達が興味を示さなかったので前を通り過ぎるだけにして、もう一つの名所になっている「アーチロック」へ向かいました。写真で見るとアーチ状になった岩の向こうに青い海が見えてとてもきれいな感じなのですが、実際に見てみるとその事実に間違いはないもののアーチがすぐ目の前に現れてあっけなく感じてしまいました。アーチの数メートル手前に鉄柵があり、そしてアーチの右側には展望台が設けられていて、雄大な自然の中にあるという感じではまったくありません。誰も嘘はついていないけれど…という感じでしょうか。
Mackinac Bridge
その後は米英戦争時に英軍が上陸した場所であるBritish Landingというところから湖岸に出て、そこからちょうど島の半周ほどを湖岸沿いに走ってダウンタウンに戻りました。ここで閉口したのが飛び回る体長1cmほどの虫の大群です。最初は島内いたるところに落ちていた馬糞のせいかと思ったのですが、水辺にしかいないし、島を出て半島側に行っても湖岸の公園などには大群がいたので何かと思っていたところ、どうやらカゲロウの仲間らしく、この時季に毎年見られる光景だそうです。特に刺すわけでもなく、鬱陶しい以外には無害なのですが、あまりの数なので相当不快に感じられ、我が家によるマキノーの評価はガタ落ちとなりました。

その後はまたフェリーに乗って半島へ戻り、アッパー半島とロワー半島の間を結ぶマキノー橋のたもとにある灯台跡へ行ってみたりもしましたが、そこでも虫の大群に遭遇して1分足らずで車に逃げ帰ったような感じです。
USCGC Mackinaw
半島側のMackinaw Cityには五大湖で活躍する沿岸警備隊の砕氷船、USCG Mackinaw WAGB-83が春から秋まで係留されていて、船内を博物館として公開しています。「期待以上に面白かった」というレビューが並んでいるのを見てこれを見に行ってみたのですが、確かにこうした客船以外の船に乗る機会というのはなかなか無いので、貴重な経験になりました。進水から71年経っている古い船なので歴史の感じられるところも多々あり、私が特に興味深く感じたのは対向ピストン式2ストロークディーゼルという馴染みのないエンジンです。こういうテクノロジーの機構が未だに現役であるということも、こういう機会がなければ知りませんでした。

この後は最後にマキノー橋を通ってアッパー半島に渡り、Straits State Parkという州立公園の展望台から橋を眺め、そしてそのまま自宅へ戻ってきました。アッパー半島に入ると格段に田舎っぽくなり何もないところでしたが、一度は足を踏み入れなければと思っていたので、ちょっとした達成感はありました。ひょっとしたら、というよりおそらくもう二度と行かないような気がしますが。

ということでマキノー島の旅、あの虫の大群さえいなければかなり良い感じだったのですが、湖岸の別の地域に行った人も同じような状況だったらしいので仕方ありませんね。ついていなかったということで。