ほぼほぼ帰国して一番驚いたこと。

ちょっと前にテレビでも取り上げられているのを見ましたが、最近「ほぼほぼ」という言葉よよく耳にするようになりました。最初は誰かタレントが使っていた言葉を真似て比較的若い人たちが仲間内の会話で使っているものなのかと思っていたのですが、実際には私よりもちょっと年上の人からも、仕事の会話どころか説明に来られた取引先の人の口からも聞くようになってとても驚いています。しかし、50代以上の人からは聞いたことがないような気がします。

私がアメリカに行く前には聞いたことがなかったので、ここ4、5年の間に急速に広まったと言えそうですが、あまりに広く普及していて「この人まで使うのか」と思ってしまうほどなので、まるでここではもともと使われていた言葉のようにしか思えず、浦島太郎なのかパラレルワールドなのかというほど、まだ現実とは思えないというのは誇張ではありません。光速に近い速度で移動すると時間の進みが遅くなるので、亜光速宇宙旅行をして帰ってきたら地球は自分たちよりはるか未来になっていたというような、もちろんこれは誇張ですがそんな感じです。

とはいえ、「ほぼほぼ」で検索してみるといつから使われるようになったのかと気になっている人は少なくないようなので、最近使われ始めた言葉であるということは間違いないようです。Googleの検索結果で最初に出てきたwith newsの「『ほぼほぼ』の進捗率は何%? いつから出現? 専門家に聞いてみた」という記事によれば、国語辞典編集者の飯間浩明氏は2013年7月ごろから耳にするようになったとのことで、これは私の渡米後です。その後2,3年で、流行語としてではなく通常に使われる言葉としてここまで広まったというのは驚異的ではないでしょうか。

同じ記事で飯間氏が言われている通り、同じ言葉を繰り返すことで物事を強調するというのは珍しくないことで、「ほぼ」を強調して使われたというのが始まりだったのかもしれません。しかし実際どうかはわかりませんが、今「ほぼほぼ」と言っている人が、「ほぼ」と使い分けているようには思えず、すでにその人たちには「ほぼ」を置き換える形で定着してしまっているのではないでしょうか。真面目な場面では「ほぼ」といい、日常会話では「ほぼほぼ」を使うのかと思っていましたが、そうではないようです。

言葉というものは時代とともに変化するもので、過去に間違っていると言われていた新しい言葉も定着して正しい日本語になっているのだから何が正しいというものではない、というのは理解できます。しかし、ここ数年の間にここまで急速に広まってしまったので、その間日本を離れていた私には一瞬で変化してしまったように見えて、まだついて行けないというのが実情です。私自身は流行に流されるのが嫌いなのでまだ当面は使わないだろうと思いますが、今時「そも」なんて書き言葉でも使わないように、「ほぼ」というのも古臭いものになってしまうのも時間の問題かもしれません。先のwith newsの記事では「10年後には一般語に?」と言っていますが、もうすでにかなり一般的になってしまっているのではないでしょうか。しかしまだ一定の割合で不快に感じている人はいるようなので、お気をつけください。