Adobeデジタル一眼レフがプロフォトグラファーに浸透したのに目を付けたのか、AppleのSteve JobsがRAW形式写真ファイルの取り扱いに主眼を置いたApertureというアプリケーションを発表したのは昨年10月のことでした。このソフトウェアはAppleらしいグラフィカルで美しい効果を付けられたユーザインタフェースを持ち、いかにもクリエイティブな自分を演出してくれそうなものなのでウェブページの製品紹介のムービーなどを見ているだけで欲しくなってきてしまう物でした。それでいて299USDという価格はプロフェッショナルをターゲットとしている割には安いような感じもするものですが、残念ながら私のiBookでは動作させることができませんし、Appleは私が使っているPentaxのRAWファイルには対応してくれないようなのでそもそも意味がありません。

このJobsの発表からさほど間をおかず今年1月、様々な分野でAppleと競合するアプリケーションを販売しているAdobeが似たようなコンセプトの製品、Lightroomベータ版を公開しました。Apertureが発売されたことで開発のペースを速めたということはあるでしょうが、さすがにそんな短期間でベータ版にこぎ着けられるはずもありませんからパクリというわけはなく、もともと同じようなものを考えていたのに先を越されたということで悔しい思いをしている人もいるのではないでしょうか。

しかしこのLightroomもWindows版も並行して開発中であるとはいうものの最初にベータ版が公開されたのはMac OS 10.4用のみであり、またしても私のiBookにはインストールすることができません。ということで仕方なく「Windows用ベータ版が公開されたら連絡する」というサービスに登録しておいたのですが、今日そのメールが届きWindows用ベータ3が公開されたことを知りました。結局各ニュースサイトなどでも報じられているので登録していた意味はあまりなかったことになりますが、まあそれは良しとしましょう。

ということでさっそくダウンロードしてインストールしてみました。サンプル写真付きのパッケージは113.7MBとなかなかのボリュームがあるのですが、サンプルなしの場合にはわずかに6.9MBと、肥大化する一方のこの手のアプリケーションとしては実にコンパクトです。インストールも順調に終わり、とりあえず手持ちの写真をいっぺんに8000枚ほどインポートしてしまったのですが、特に動作には問題なくライブラリを作成してくれました。

そこでさっそく手近な写真を選んで軽く編集などして操作感を試してみましたが、美しいだけではなくなかなか直感的で扱いやすいユーザインタフェースになっているのではないでしょうか。Macユーザの評判でもApertureよりもLightroomの方が使いやすいという声がありましたので、やはりPhotoshopなどで培われた経験がものをいっているのかもしれません。またホワイトバランスや各種パラメータの自動設定もかなりいい感じの設定になるので、おまかせでもそれなりの仕上がりは得られてしまうかもしれません。

ただ大きな問題はこのアプリケーションはかなりメモリを盛大に消費するということです。私は最近RAMを買い足して1GBにしていたのですが、タスクマネージャで見ると550MBほどのメモリ使用量となっており、最低768MB、推奨1GB以上というのはダテではなさそうです。まあこの辺りはベータ版だからということも考えられるので、製品版になればもう少し軽くなるかもという期待もありますが、快適に使おうと思えばひょっとしたら2GB程度のRAMが必要になるのかもしれません。恐ろしい世の中になったものです。

それはともかく、Adobeは先日RawShooterの開発元Pixmantec買収を発表しており、そのRAW画像処理技術がこのLightroomにも統合されるということでAdobeが本気で取り組んでいるということがわかりますが、ベータ3のできを見て私も今後の玉成が楽しみになりました。とはいえ私が簡単に手が出せるような価格にはならないでしょうから、製品版を購入できるかどうかはわかりませんが…まあ、趣味で使うだけでRAWファイルにこだわらないのであればPicasaの方が軽くて使いやすいような気もしないではありませんが。

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