フンドシを締めてかかれよ!
最近社名がApple Computer Inc.から変更になったApple Inc.が運営する音楽・ビデオのダウンロード販売のiTunes Storeですが、つい昨日からDRM(デジタル著作権管理)フリーの楽曲ファイルの販売をiTunes Plusの名前で開始しました。まさか当初から日本でもサービスが提供されるとは思っていなかったので、私もこれには驚きました。これにより一度購入したファイルを複数の機器で自由に再生したり、また友人にコピーしたりということができるようになるのですが、著作権法の縛りがなくなるわけではないのであくまで「個人的複製の範囲」を逸脱することはできません。ダウンロードしたファイルにも購入したときのApple IDが埋め込まれているということなので、悪質なケースではきっと手痛いしっぺ返しを食らわされることになるのでしょう。
それはさておき、iTunes Storeには「今週のシングル」というコーナーがあり、毎週1曲ずつ無料でダウンロードして聴くことができます。また、ダウンロードした曲は普通にiTunes Storeで購入したものと全く同じ扱いなので、この期間が終わったあとでもライブラリに入れておいて何度でも繰り返し聴くことができます。日本のiTunes Storeの場合は基本的に日本人アーティストの中からのセレクトとなっているようですが、ほとんど邦楽を聴かない私にとっては知らないアーティストばかりなのでなかなか新鮮で面白かったりします。
日本でiTunes Music Storeがオープンしたのは2年弱前のことですが、この「今週のシングル」で紹介された記念すべき最初の1曲がHIFANAという日本のクラブミュージシャンの「WAMONO～和モノ～」という曲でした。日本のクラブミュージックなんてほとんど聴いたことがなかった私ですが、この曲は良いというよりも実に「秀逸」で、すっかりハマってしまいました。しかしながらAACというフォーマットのせいでiPodを持っていない私はiTunesでしか聴くことができず、次第にあまり聴かなくなっていって忘れかけていたところでiPod Shuffleを購入してシャッフルしたところ思いがけず聴くことになり、また思い出したというようなところでした。
とりあえずはiPod Shuffleで聴くことができれば通勤時などはそれでもいいのですが、やはり車の中でも聴きたいとなるとMP3に変換する必要があります。AACからMP3に変換するには一旦CD-RにAudio CDとして書き込んでからリッピングし直す、というような方法になるのだと思うのですが、それは面倒ですし音質の劣化も気になってしまいます。というわけで結局アルバムCDを買ってしまえ、ということになり、「WAMONO」が収録されている2005年発売の最新アルバム「Channel H」を購入することにしました。
結局「WAMONO」がかなり突出した出来だったのか、これに匹敵するほどの曲は無いようだったのですが、かといってそんなに悪いわけではなくなかなか面白いアルバムでした。これまでにここで紹介してきた曲からすると意外に思われるかもしれませんが、私は昔から電子楽器を多用した打ち込み系の曲も結構好きなのでした。
またこのアルバムはDVDとのセットになっていますが、DVDの方も良くあるオマケPV集のようなものではなく、これ自体が立派な作品となっているかなり完成度の高いものです。DVDは歩きながら観るというわけにもいきませんが、BGVとして流しておいてもいいのかもしれません。ちなみに、WAMONOのビデオクリップは「平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞」というものを受賞しているそうで、一見の価値があるのではないでしょうか。なお、画面は小さく見づらいかもしれませんが、こちらでストリーミングで観ることもできるようです。
ということで、音楽と映像の融合を楽しむことができる面白い作品だったのでよいのですが、私もまんまとマーケティングの術にはまってしまったということのようです。まあiTunes Storeで購入したわけではないのでAppleにとっては利益にはならなかったわけですが…輸入盤のCDなら2枚買えてしまう3400円という価格にTower Recordsの店頭でさんざん躊躇した挙げ句、結局家に帰ってAmazonで購入してしまったので、一番の勝者はAmazonということでしょうか。DVDが要らなくてiPodで聴ければいい、という人はiTunes Storeなら1500円でアルバムを買えるようですが、それでは私の場合全く意味がないわけで…難しいものです。あ、iTunes StoreならWAMONOのPVも300円で買えるようですね。