タマキングこれが天賦の才というものでしょうか

以前、世界中のジェットコースターに実際に乗って紹介している「ジェットコースターにもほどがある」という本を読んで非常に面白かったとご紹介したことがありますが、この時「この様子だと他のテーマで書かれている他の著書も面白そうなので、ちょっと探して読んでみようかと思っています。」と言っていたまま忘れてしまい、しばらく時間が経ってしまいました。しかし今日、図書館に行った際にふとそれを思い出し、旅行書の書架を探してみると何冊か見つかったので早速借りてきました。

52%調子のいい旅
著:宮田 珠己
旅行人 (2003/06)
ISBN/ASIN:4947702508

この本は「旅行人」という雑誌に連載されていたエッセイを中心にまとめたものだということなので、基本的には著者の宮田氏が旅行に際して感じたことが書かれているのですが、旅行記のようなものではなく、旅行そのものとはほとんど関係のない話が面白おかしく、脱力気味に綴られています。役に立つ内容は皆無といっていいでしょう。

それにしても面白いのは独特の言い回しで、

何度も言うが、食事なんか錠剤で済めばいいと思っている私が、もう一度食べたいと思うぐらいだから、さぬきうどんは本当にうまい。

とか、

ついでだから説明すると、世界一周は、仮にウルトラ兄弟で言うなら、たかだか三十分の番組内で、ゾフィから何から兄弟全員が勢揃いしてヒッポリト星人と戦うようなものである。

というような表現はちょっとやそっとウケを狙ったからといってなかなか真似のできるものではありません。まあ相手はプロのエッセイストですから、そんな言い方自体失礼かとも思いますが、私も少しでも見習いたいものです。

また、本書のタイトルにある「52%」というのは何が52%なのかということについてはあとがきで説明されています。

自分なりに分析してみたところ、エッセイの52%が旅行の話であり、残りは趣味や日常のよもやま話だということがわかった。

として、その「算出根拠」も書かれているのですが、実際には「旅行成分濃度」などという意味不明な係数もかかっていて、要するにテキトーなのです。しかしこのテキトー加減が宮田氏の真骨頂とでもいいますか、魅力的なところであるわけです。

ということで、軽い文体のエッセイで、非常に面白かったのであっという間に読み終えてしまいました。こうなると他の本も探し出して全部読みたくなってきてしまいますが、タイトルのせいで本来の内容とは全然違うコーナーに陳列されていることもあるそうなので要注意です。図書館ではそんな問題はさすがにないのでしょうが…また、最近更新されていない様子ではあるもののファンサイト「タマキンガーの部屋」も充実しているようなので、こちらも要チェックです。