Google ChromeGoogleらしい仕上がりに期待大

AppleSafari 4のDeveloper Previewを公開していたり、MicrosoftInternet Explorer 8 Beta 2も公開され、Mozilla Firefoxは3.1が年内に公開される予定だったりと、ウェブブラウザの開発競争が激化しているようですが、これらの最新ブラウザの性能上の差別化ポイントはJavaScriptの処理速度ということになっています。JavaScriptを多用したインタラクティブなウェブサービスが利用者数を伸ばしているということで重視されるようになっているわけですが、これまでのところSafariとFirefoxの性能が拮抗しており、IE8もそれに負けないパフォーマンスを出しているというところでしたが、Firefoxは3.1でこれまでの倍ほどのスピードになって大きく引き離そうとしているというようなことでした。

こうしてこの3者にOperaを加えた4社が開発にしのぎを削っているところにさらになだれ込んできたのがGoogleの新しいブラウザChromeで、米国時間の9月2日ベータ版が公開されました。

Googleの提供する各種ウェブサービスを快適に利用するためにやはりJavaScriptの性能を大きな売りにしており、リリース後に行われたベンチマークでは他のブラウザを上回るパフォーマンスを示しているそうです。また、Googleらしく標準規格を重視した設計になっており、ウェブ標準のテストサイトACID3のテストではSafariには及ばないもののFirefoxを上回るスコアをマークしているということです。このChromeは未だベータ版ですから、正式版に向けてさらに磨きをかけてくるのではないでしょうか。といっても、ChromeのレンダリングはKHTMLをベースにしたWebKit、つまりSafariと同じものを使っているので、Safariが良くなればそれにつれてChromeも良くなり、逆もまた然りということになるかもしれません。

Chromeの機能面での特徴は、まずこれまでのタブブラウザでアドレスバーやツールバーの下にあったタブがウィンドウの最上部に移っており、アドレスバーなどもそれぞれのタブに属するものとなっているということです。これは各タブを独立したプロセスとしたためでもあり、いずれかのタブで表示しているページが何らかの理由でクラッシュした際も他のタブが巻き添えになって閉じてしまうことがないそうです。また、プロセスが独立したというのはCore 2 DuoQuadAthlon 64 X2Phenomといったマルチコアプロセッサが一般的となった今、さらに性能を引き出しやすいということになっていることでしょう。

もう一つ特徴的なのは、Googleが開発したブラウザであるにも関わらず検索用の入力エリアがないということです。実はむしろGoogleが開発したものだからこそなのですが、検索機能がアドレスバーに集約されており、URLの入力と検索とをシームレスに扱うことができるようになっているのです。まあこれはFirefoxのSmart Location Barと同じようなものではあるのですが、Firefoxのものよりも反応が良いためか快適に使えるような気がします。

ということで早速私は今朝起きるなりChromeをダウンロード、インストールして、出勤前と帰宅後に使ってみていて、この記事もChromeを使って書いているところです。インストール時には標準に設定していたブラウザからブックマークや履歴、パスワードまでインポートしてくれるので、すぐに使い始めることができます。正直なところパスワードまでというのはちょっと抵抗がありましたが、便利は便利です。

使ってみての感想はやはり非常に軽快であるということに尽き、非常にサクサク、キビキビと動作します。まあFirefoxなども当初は同じように軽快に感じたものですが、機能が向上するにつれ動作が鈍重なものになってきてしまいました。Chromeも現時点ではあまり機能的に充実しているとは言えませんが、実はこれだけでも実用には差し支えなく、あとは趣味の領域なのだということに気付かされました。また不満に感じるのは逆にカスタマイズ性が低いということで、好みに応じてどんどん機能面も拡張できるFirefoxの心地よさはなかなか手放しがたいものです。

結局のところブラウザなんていうものは気に入ったものを使えばいいのですが、やはり私には長く使ってきたFirefoxが一番馴染んでいていいのかもしれません。私のPCにはIE, Firefox, Safariに加えてChromeがインストールされているわけですが、IEでなければならないWindows Updateを除けばこれらを使い分けるような理由も特にありませんからね。まあ今後Chromeがどう進化するのかは楽しみなところですが。