e-ha? サイン入りCDやっぱりライブはいい。

近畿圏以外の人には実感の湧かないことだろうと思いますが、大阪、兵庫では新型インフルエンザの感染者が出てきたことで今週いっぱい学校が休みになったり、出張規制がかかったり宴会の自粛が求められたりと、社会生活にも具体的な影響が出てきています。街を歩いていても高い割合でマスクを掛けていますし、そもそも歩いている人の数自体が大幅に減っています。学生が出歩いていないこともあって街からは活気がなくなっていて、本格的なパンデミックの段階になったとしたらいったいどんな死の街になってしまうのかという感じです。

私の勤務先でも例に漏れず「懇親会等は極力自粛すること」というような通達があったのですが、さすがにそんなある意味自殺行為のような非常識ともいえることは想定しなかったのか、明示的に禁じられることはなかったので、神戸のライブハウス「神戸Wynterland」に行ってきてしまいました。さすがに神戸ではすでに多くの感染者が出ていることもあって、物々しい注意書きがあちこちに貼られていたり、入口で両手のアルコール消毒を求められたりしましたが、基本的に出演者がやるといえばやるというスタンスのようでした。

今回のライブはムッシュかまやつとその娘たち、という具合でなぜか何年も続いているFather & Daughtersツアーなのですが、私が行くのは2005年12月以来の4回目のようです。昨年は惜しくも次男の誕生日に重なってしまって行けなかったので、今年は何としても行きたかったのですが、インフルエンザのせいでどうなることかと…

ということで、今年は「Father & Daughters Again – マリマキエハカマ」と銘打たれているこのツアー、アーティストは出演順に(敬称略)ムッシュかまやつAir Swell本夛マキe-ha?金子マリ、という具合で、年齢もキャリアも音楽性も様々、色とりどりな面々です。これまでこのツアーではマキちゃんは「アナム&マキ」として参加していたのですが、昨年末を以てコンビは休止ということなので今回はソロでの参加です。

Air Swellは前座的な位置づけで登場した若い男の子4人組ですが、前もって聞いていてある程度覚悟はしていたものの、予想を上回る激しさでした。私も最近はメタルも聴けるようになってきていたのですが、それでもここまで来るとちょっと…というような感じで、受け付けないという人も多いのではないかと思います。ただ、そんな中でもギターは細かい旋律を丁寧に弾いていたりして、私が偉そうに言うことではありませんが、実力はありそうでした。MySpaceで聴ける曲は若干おとなしめになっているので、これはだいぶ聴けます。

本夛マキちゃんはアナム&マキの曲ができないのでソロの新しい曲ばかりでしたが、ギター1本で聴かせてくれるところは相変わらずでなんだか嬉しかったです。「友達の結婚式で唄った歌」とか「お父さんの誕生日に唄った歌」とかいうのも可愛くていいです。そんな歌を聴きながら、私も娘に歌ってもらいたいなんて思ってしまいましたが、残念ながら私に娘はいません。

e-ha?についてはもうすっかりお馴染みで、もはや何も言うことはありませんが、今回も新曲を引っさげて来てくれました。何しろキャリアの長いお姉さんたちなので、その演奏には余裕さえ感じられ、聴いている方もなんだか安心していられます。私の好きな「泳ぐの」を歌ってくれたのも嬉しかったです。

このツアーでは例年ゲストが参加していますが、今年のゲストは金子マリという素晴らしくソウルフルな歌声を聞かせてくれる、酔っぱらいのおばちゃんでした。ステージに缶ビールらしきものとタバコを持って登場する人は初めて見ましたが、そのあと歌唱力で驚かせたかと思えばMCは完全な酔っぱらいの与太話で、おかしな人でした。そうは言っても、錚々たる面々と一緒にやってきている人ですし、歌を聴けばその実力が本物であることは疑いようがありません。

私の世代でムッシュかまやつのライブに何度も行ったことがあるなんていう人はそういないでしょうが、今回はホストに徹していたというか、出たり入ったりが多くてあまりムッシュの歌自体は聴かれませんでした。途中ギターの弦が切れてステージを去ってしまったということもあるのですが、それでも最後は参加メンバーみんなをリードして、ザ・スパイダースの名曲「バン・バン・バン」で楽しく締めてくれました。

まあそれにしても、つくづくよくわからない取り合わせのツアーで、このツアーがなければムッシュの曲をまじめに聞くこともなかったでしょうが、ムッシュがいればこそのツアーでもあります。ムッシュも今年70歳ですが、元気でいる限り、何度でも神戸に来て欲しいと思いますし、来てくれる限り私は足を運びます。ぜひまた来年も。