Knight and Day「安全」の連呼は死亡フラグ?

学校の夏休みに合わせて話題作の公開が集中するためか、休み明けの9月にはどうも観たいと思える映画がなく、しばらく映画館とはご無沙汰してしまいました。といってもひと月少々のことですから大したことではないのですが、ずいぶん長いこと観ていないような気がして飢餓感のようなものを感じてしまい、何か観られるものはないだろうかと探していました。来週末公開予定のSylvester Stalloneの「エクスペンダブルズ」は観たいと思っているのですが、あと一週間も待っていられない!となぜか切羽詰まっていました。

では他に何かないだろうかと公開予定作品を調べてみると、最近主演のTom CruiseCameron Diazの二人が来日して数々のテレビ番組にも出演してプロモーションしていた「ナイト・アンド・デイ」という作品がありました。主演の二人が豪華な割にはなんとなく安っぽい感じがして、最初は特に劇場で観なくても良いと思っていたのですが、特に他に観たいものはないし…ということで、軽い映画もたまにはいいだろうと勝手に納得してみることにしました。

実際観てみると、やはり予想通り軽い内容ではありましたが、エンターテイメントとしては悪くないのではないかなと思いました。無敵のスパイを演じるTomの派手な攻防に、Cameron演じる楽天的な一般女性が巻き込まれて世界中を逃げまわる、というどこかで見たような設定の組み合わせですが、予想通りというのは観ている人の期待を裏切らないということでもあり、安心して観ていられます。ハラハラドキドキという意味では物足りないかもしれませんが、観ているだけで疲れてしまうというようなことはないでしょう。

スパイアクション作品ということでかなり派手なアクション満載で、かなり沢山の敵が次々Tom演じるRoy Millerに倒されていきます。いくらなんでもやり過ぎで、これではCIAもすぐに人手不足になってしまうのではないかと思ってしまいますが、そんなことを気にしても仕方ありません。まあ、争奪の対象にはそれだけの価値があるとも思えますが、それにしては扱いがぞんざいな気もして、そのあたりの現実感のバランスが架空の方に寄っているのが軽く見える一因でしょうか。

個人的には二人がバイクで町中を走り回る終盤の場面で、敵が乗る数台の車が全てSmart Roadsterだというところに引き付けられてしまいました。どうしてこの場面でこんな車が選ばれたのかよく分かりませんが、ちょっと現実離れした感じと、コンパクトで市街地を縦横無尽に走り回るのに適しているところがその理由でしょうか。小さな車が好きな私はSmartも欲しいと思っている車の一つなので、悪役が乗る車なのにどうしても気になってしまいました。

私が観に行ったのは夜9時半頃からのレイトショーだったのですが、公開初日だったのに小さいホールだったためかほぼ満席でした。TomとCameronの主演でこの程度のホールしか割り当てられないというのはこの二人の動員力が低く見積もられてしまっているのか、最近は邦画の方が人気が高くなっているためかと思いましたが、寂しい事にはならずにすみました。過去には初日でも数人しかいなかった作品もありましたからね…そういう意味ではさすがTomとCameronなのか、プロモーション来日の効果があったということなのか分かりませんが、映画館全体としてもかなり賑わっていたので「芸術の秋」だからということなのかもしれません。

ちなみに原題の”Knight and Day”というのは”Knight”と”Night”の掛け言葉、要するにダジャレなわけですが、こんなダジャレも英語だとなんとなくオシャレな感じがしてしまうのは不思議なものです。邦画のタイトルがダジャレになっていたら、ちょっとふざけた作品としか思えませんよね。