The Twilight Saga: Eclipse思ったほど酷いものではなかったものの…

話題性のためにアニメ映画の声優に有名タレントを起用するというのも最近はもう珍しくも何ともなくなってしまいましたが、アニメであれば本人のイメージというものがあるわけではないので、よほど下手でなければそれほど問題となることもないでしょう。しかし、普通の洋画の吹き替えの場合には元の俳優のイメージや実際の声というものがあるので、単に客引きのためだけに有名なタレントを使うというのは避けてほしいものです。

私は今回、先週末公開されたばかりの「トワイライト」シリーズ最新作、「エクリプス トワイライトサーガ」を観ようと思い、いつものようにe席リザーブで座席を予約してから劇場に向かったのですが、その道中でふと気になって予約メールを確認してみると「吹替」の2文字が。私は当然台詞も役者の演技のうちと思っているので常に字幕版で観るようにしていますし、特に今回のようなシリーズ物の場合はすでに登場人物と声が結びついてイメージされていますので、急に違う声で日本語で喋られては違和感がたまりません。

どうやら間違えて購入してしまったようなので、仕方ないので劇場に着いてから窓口で字幕版に替えてもらえないものか聞いてみて、ダメならチケットを買い直してでも字幕版で観ようと決めて劇場に行ってみると…なんと字幕版は上映されておらず、吹き替え版のみということで選択の余地はないのでした。しかも主人公2人の声は上戸彩成宮寛貴が担当しているということを聞いていたので、かなりガックリ来てしまいましたが、上映していないものは仕方ありません。諦めて吹替版で観ることにしたのでした。

また今回、本編の上映直前には前2作のあらすじを紹介する映像が上映されたのですが、これがまたテレビのようで安っぽい作りなこと…これはウェブサイトでも「3分でまるわかり『トワイライトの世界』」として観ることができるようになっていますが、前2作を知らない人がこれだけを観て内容を理解できるものなのでしょうか。私はこれまでシリーズ作品でもこのような物を観たことがありませんが、これは親切なのでしょうか。私にはどうも雰囲気をぶち壊しているだけのように感じられてしまい、全く好感が持てませんでした。

一方、本編についてはすでに原作を読んでいるということもあり、その原作に忠実なストーリー運びなので安心して観ることができました。今回もまた監督が交代していて、1作目とも2作目とも異なる絵作りが感じられましたが、クセのない映像で悪くはないように思います。私の好みは1作目のアートな感じの映像ですが、なぜ外されてしまったのかが未だに不思議です。

今回の作品はアクションシーンが多くなっていますが、それを楽しみに観るような作品でもないので、手に汗握るようなほどのものではありません。とはいえ、ヴァンパイアと巨大狼とのスピードのある戦闘はそれなりの緊迫感を持って描かれているのではないでしょうか。また、前作では少々違和感のあったCGの狼も今回はかなり自然でリアルな出来栄えでした。

しかしそれにしても、なぜ上戸彩と成宮寛貴なのでしょう… もともと私のようなおっさん向けの作品ではなく、女子中高生をターゲットにした作品であるはずですが、彼らが演じることで訴求するものなのでしょうか。上戸彩の方は実際に観てみるとそれほど強い違和感はなかったのですが、成宮寛貴の声はEdwardに全くマッチしていません。こちらは違和感バリバリで、最後まで集中して観ることができませんでした。逆に、他の登場人物の声は本職の声優さんが演じているようなので、全く違和感がなかったのはさすがです。

また別に吹き替え版の声優が彼らであっても、字幕版も同時に上映されているのであれば私も文句は言いません。悪いのは配給元と上映側のどちらなのかわかりませんが、どうして前2作は字幕版しかなかったのに、今度は吹き替え版だけなどということをするのか不思議でなりません。

きっとこのシリーズが日本では欧米ほどヒットしないので手を打ってきたということなのだと思いますが、日本で受けないのはヴァンパイアものだからなのではないでしょうか。なぜか私はヴァンパイアものが好きなので色々観ていますが、どれもヒットしたとは言えないものばかりです。反対に欧米ではヴァンパイアものが大人気なのが不思議ですが…

ともかく、このシリーズもあと2作残っていますが、二度と同じようなことはしないでもらいたいものです。かといって上映しないというようなことになるよりはまだマシですが…