Up in the AirGeorge Clooneyじゃなかったら貧乏臭い話。

観光でしか飛行機に乗らないような人にはあまり縁がないかもしれませんが、業務出張などで飛行機を頻繁に利用する人にはいわゆるマイレージ、Frequent Flyer Programはおなじみのものでしょう。私も今年は出張で何度も飛行機に乗りましたので、主に利用しているデルタ航空スカイマイル会員になって少しずつマイルを貯めています。

マイルが貯まることでそれ自体を航空券と交換してただで旅行ができるというメリットもありますが、もうひとつのメリットが年間獲得マイルなどに応じて決まる会員ランクによる特典で、特に頻繁に利用する人にとってはこちらの方が重要となっているのではないでしょうか。上級会員になると空港のラウンジを利用できたり、一般客より先に乗り込むことができたり、場合によってはエコノミークラスからビジネスクラスやファーストクラスにアップグレードされたりといったことがあります。これらの特典を受けることができない人たちからはえこ贔屓のように見えてしまいますが、上得意客を贔屓するというのは商売としては普通のことかもしれません。

今回はそんなマイルを貯めることを生きがいにしてしまった男を主人公とする映画「マイレージ・マイライフ」を観てみました。

マイレージ、マイライフ [Blu-ray]
監督:ジェイソン・ライトマン
角川書店 (2011/06/24)
ISBN/ASIN:B0051CET22

George Clooney演じる主人公のRyan Binghamは企業の依頼を受けて解雇を通告するという「首切りのプロ」なのですが、アメリカにはそんな業種が本当にあるのでしょうか。彼は会社の指示でアメリカじゅうを飛び回り、年間300日以上を出張先で過ごしているのですが、彼の夢は累計1000万マイルを史上7番目に達成すること。そのために出張こそが自分の日常という気ままな日々を送っているのですが、そこに経費削減のために出張を廃止しネットでの面接を提案する新人社員Natalie Keenerが現れ…
Anna Kendrick as Natalie Keener
このNatalieを演じるのは「トワイライト・サーガ」で主人公Bellaの友人Jessicaを演じているAnna Kendrickですが、トワイライトのJessicaの時とは違う知的な雰囲気を漂わせていて、演技もひと味違い、受賞は逃したもののさすがこの作品でアカデミー助演女優賞にノミネートされただけのことはあります。もう一人、Ryanの恋の相手となるAlexはVera Farmigaという女優が演じていますが、30代半ばという年齢の割に落ち着いた、妖しげな雰囲気を漂わせる個性的な人で、この人も同時にアカデミー助演女優賞にノミネートされたようです。

この作品の監督はJunoJason Reitmanなのですが、落ち着いた調子で淡々と描いているのは彼の作風なのでしょうか。ウェブ上のレビューなどを見ると、確信に触れたがらないように見えて好きになれない人もいるようですが、特に家族の描写はとても暖かい感じがして私は好きです。

主人公のRyanが利用している航空会社はアメリカン航空で、AAdvantageというマイレージ・プログラムのプロモーションにも利用されていますが、1000万マイルを貯めると、というのはフィクションのようです。いかにアメリカが広いといっても、国内線のみで1000万マイル分利用するなんて全く想像できませんが、ここまで行くとなるとほんとうに地上にいるより空の上にいる時間の方が長くなってしまいそうですね。私にはとても無理です…