citizenM Hotels最初はビックリしましたが。

先日のドイツ出張の用件は2日間だったのですが、前々回書いたように航空運賃の都合で出発を1日早めたため前日の準備プラス1日で4泊6日の日程となっていました。用件自体は夕方には終わるのですが、フランクフルトからデトロイトに戻る便も午前中に出発するものしかないので、特に何もなければ最終日の夜はゆっくりして、翌朝ホテルを出れば問題ありません。実際、同行したO君はそうしたのですが、私は翌日の午後に電話会議の予定が入ってしまい、直行便では会議の1時間前にデトロイトに到着することになるので、入国審査にかかる時間などを考慮するとオフィスに戻るには到底間に合わず、空港から電話で参加するにしても到着がちょっとでも遅れるとダメです。最悪ドイツにもう1泊してドイツから参加するという案もあったものの、実はさらにその翌日にも予定があったのでそれもダメです。そこで何か解決策はないかと考えて調べに調べると、といってもGoogle Flightsを利用しただけですが、アムステルダム発の便はデトロイトに2時間ほど早く到着することが分かりました。フランクフルトからアムステルダムへのフライトは1時間ほどでかなり頻繁に出ており、夕方に業務を終えてから出発する便もちょうどいいものを選ぶことができました。

しかし、せっかくのアムステルダム滞在ですが、到着するのが夜9時過ぎで、翌朝6時半には空港に到着している必要があるので、街中に繰り出すことはおろか、空港から出る余裕もありそうになかったので、空港内のホテルにただ泊まるだけでした。スキポール空港はヨーロッパ屈指の巨大空港なので敷地内にもホテルはたくさんありますが、今回はその中でも気になったcitizenM Schiphol Airport hotelというホテルに泊まってみることにしました。

アムステルダムに到着後、空港内のスーパーで夕食用のサンドイッチを買いつつお土産にチョコレートなどを買ったりしているうちに、ターミナルから歩いて3分ほどのホテルに着いたのはもう夜10時になってしまいました。もうさっさとチェックインして、シャワーを浴びて寝るだけ…のはずだったのですが、このホテルが思いがけず面白いところでした。
前衛的な廊下
まずはチェックインから一般的なフロントデスクではなく、数台置かれたタッチパネルのシステムでの自動チェックインとなっています。さすがに無人ではサービスが悪すぎるということか、係のお姉さんがいてやり方を教えてくれましたが、このお姉さんもなかなか個性的で何かが違いました。お姉さんからは「シャワーを浴びるときは必ずドアを閉めて。これは重要だから。」と注意を受けましたが、湯気が原因で火災報知機が作動してしまうことがあると他で聞いたことがあるので「ああ大丈夫」と返しておきました。ルームキーはRFID内蔵のようなカードキーですが、記名欄があってチェックアウト後も持ち続けるメンバーシップカードも兼ねているようです。

ロビーも非常におしゃれな内装だったのですが、エレベーターで客室階に上ってみるとまた驚きました。黒い天井に白い壁と客室ドア、そして真っ赤なじゅうたんが敷かれていて、突き当りの黒い壁には何か絵が描かれていて、普通のホテルとは思えない前衛的な空間で、一歩間違えればラブホテルのように下品になってしまうところを堪えているようなギリギリのラインではないかと思います。

そして客室に足を踏み入れてみるとさらに驚きです。アメリカのホテルに慣れた私には床面積はだいぶ狭く感じ、日本のビジネスホテルのツインと変わらないくらいではないかと思いますが、そんなことは問題ではありません。びっくりするのはシャワースペースとトイレがガラスの円柱形のドアで区切られているだけで、客室内の同じ空間に存在するのです。極めておしゃれな感じではありますが、さすがにトイレのガラスはすりガラスになっていますし、シャワーにはシャワーカーテンがあるので丸見えというわけではないのですが、心理的な抵抗を感じるという人も少なくないのではないかと思います。また、これを見てお姉さんの忠告の本当の意味がようやく理解できました。確かにこれではドアを閉めなければ部屋の中がびしょびしょになってしまいます。
奇抜な客室
ベッドサイドのテーブルにはiPadが置かれていますが、画面には名前入りのウェルカムメッセージが表示されていて、ちょっとくすぐられます。ベッドの足元には大型液晶テレビがありますが、そのテレビを含め、照明の明るさや色、空調などもその備え付けのiPadで制御することができます。また、映画類は無料と謳われており、iPadで選択し液晶テレビで観ることができますが、その映画の品揃えもなかなか豊かでした。時間があればずっと部屋にこもっていても退屈することはなさそうだったので、今回の短時間の滞在が恨めしく感じました。もちろんWi-Fiも無料ですが、その帯域にも問題なく快適です。

とりあえずシャワーを浴びてくつろいでいると部屋の電話が鳴り、何やら当選したからロビーまで取りに来いとのことです。部屋まで持ってきてくれればいいのにと思いつつ着替えて降りて行くと、シャンプーやボディーソープがセットになったトラベルキットなるものが手渡されました。まあ大したものではありませんが、もらって悪い気はしないかもしれません。

このようにいろいろ楽しいホテルだったのですが、なにしろ8:30発のフライトに乗らなければならなかったので5時に起き、慌ただしく準備をして朝食を摂り、さっさとチェックアウトして空港までまた歩きました。空港内にあるというのが今回は重要なポイントでしたが、このcitizenMという新進ホテルチェーンはここスキポールから始まって、今は蘭英仏6か所とニューヨークにもあるようですので、また機会があればぜひ利用してみたいと思います。ちなみに料金は素泊まりなら1万円程度からですので、コストパフォーマンスもかなりいいのではないでしょうか。