みんなが使わないと意味がありません。
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以前、AppleとGoogleがCOVID-19の濃厚接触の可能性を追跡するための技術で協力しているというニュースがあり、その後5月にExposure NotificationというAPIがiOSでは13.5に、Androidでは6.0で利用できるGoogle Play Servicesとしてリリースされました。

この状態ではそのままユーザーが利用できるわけではなく、このAPIを利用したアプリケーションが必要だったのですが、このAPI自体もやたらなアプリがアクセスすると害悪となるので、各国の政府機関に準ずる組織で開発したものでないと承認されないようになっていました。いくつかの国ではすでに公開されていたのですが、昨日日本の厚生労働省が公開したのが「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」というものです。

公開当初は厚労省のページからアプリへのリンクが掲載されておらず、AppStoreでの検索でもうまく見つけられないという問題があったのですが、夜になってGoogle PlayApp Storeへのリンクが追加されてインストールできるようになっています。私は厚生労働省が公開している他のアプリを探して、そこから同じ開発者のアプリを検索するという形でなんとかCOCOAを見つけ出してインストールしていましたが、これは確かに一般の方にはなかなか高いハードルではなかったかと思います。

アプリの設定自体は至って簡単で、利用規約への同意と、Bluetoothとログの記録・通知機能の利用確認があるだけです。しかし、ここでBluetoothなどの利用を拒否してしまうと二度と許可できない袋小路に入ってしまうという、仕様上の欠陥があるようなので要注意です。

一旦設定が終わってしまえばあとは自分が感染していないかを確認したい時に「陽性者との接触を確認する(14日間)」というボタンを押すだけです。感染者の情報は1日に1回更新され、その情報と自分の接触者とを照合して一致すれば通知が表示され、接触が確認されない場合にはその旨表示されるということです。ボタンは何度でも押せると思いますが、元のデータは1日1回しか更新されないようなのでその意味はないでしょう。

接触者追跡の仕様は公開されているので誰でも詳細を確認できるのですが、仕組みとしてはBluetoothの機能でスマートフォン同士でIDを交換し合い、概ね1m以内の距離で15分以上検出したIDを記録し、利用者の感染が確認された場合にその利用者のIDを共有し、そのIDが自分のスマートフォンに記録されていれば接触していたと見なされて通知されるというものです。この仕様のキモは個人のIDや位置情報をサーバーに記録するものではなく、またIDも毎日変更されるのでそのIDを使用した追跡もできないということで、Appleらしく個人情報保護に万全の配慮がなされたものになっています。

しかしテレビを見ていると「個人情報が不安だから利用しない」という通行人の声をそのまま放送してそれを否定することもなかったり、Bluetoothをオンにし続けるとバッテリーの減りが心配などとも言っていたりで、不安を煽ってせっかくのこのアプリを使わせないようにしているとしか思えません。このアプリのような断続的なBluetoothの使用でのバッテリー消費なんていうものも誤差にもならないようなものです。どうしてテレビというのはこう無責任なのでしょうか。

また、実際には感染していないのに感染したとして登録する人がいるのではないかと疑う人もいましたが、そんな事ができるとシステム全体が一発でゴミになってしまいますから、さすがに対策されているでしょう。具体的には検査機関側が登録した検査結果IDと一致しなければ登録できないようです。AppleとGoogleという世界トップクラスの頭脳集団が結集して作られているわけですから、そんな簡単な穴があるわけがないでしょう…というのはナイーブすぎるでしょうか。

ということで、1人でも多くの人が利用することが重要なアプリですので、自分の身を守るためにも積極的に広めていきましょう。まあ最初の1か月は「試行版(プレビュー版)」ということらしく、アプリ自体の動作に不安定なところなどはあるかもしれませんが、根幹となるIDの記録はOSレベルで行われているので、そのあたりは大目に見てあげてください。