私は普段ほとんど利用していないのですぐに気づかなかったのですが、ちょうど1週間ほど前の6月8日から、ニコニコ動画などを運営するドワンゴに対してランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃が行われたため、対応としてのサーバーのシャットダウンや物理的な切断の影響でサービス全般が停止しているとのことです。復旧には1ヶ月以上かかる見込みとのことで、かつてない規模の障害と言って良いのではないでしょうか。

現時点では攻撃の主体などは明らかになっていませんが、翌日には警察へも届け出ているということなので、鋭意捜査中ということかと思います。日本のサイバー警察の威信を掛けた捜査となって、関係者の気合も相当入るのではないでしょうか。

不幸中の幸いとして、投稿された動画データなどは外部クラウドに保存されていたため影響を受けないとのことですが、配信や課金などのサービスを運用していた内部クラウドが被害を受けたため、これらの被害有無を確認しながら復旧していくということで、システム全体の再構築には大変な時間がかかってしまうようです。

こういった復旧作業自体もドワンゴにとっては大きな負担となるものですが、さらにサービス停止中はユーザーに対して会費の補償を行う、つまり停止中のドワンゴには収入がなくなるということで、二重の負担がのしかかることになってしまいます。もしかするとこういった事態に備える保険のようなものがあるのかもしれませんが、損害賠償を受けられる望みもあまりないような気がします。

しかしこういった悲観的な状況の中で、現在ニコニコ動画(Re:仮)として縮小営業中となっていますが、これは

当社の開発チームが自発的に3日という短期間で作り上げたもので、「ニコニコ」のサービス最初期(2006年)と同じ、動画視聴やコメントといった基本的な機能のみを備えた動画コミュニティサイトです。 サービスの負荷を考慮し、ニコニコ動画に投稿された作品の中から選ばれた一部の動画のみが視聴可能となっています。主に2007年の人気動画が中心のラインナップで提供され、アカウントなしで無料でご視聴いただけます。

ということで、限定的な機能ながらそれなりに使えるものになっており、こういったことが社内的な士気にも関わるでしょうし、私も応援したい気持ちになります。

なお、今回はドワンゴが標的になってしまいましたが、これだけの規模の攻撃が私怨によるものということはないでしょうから、他の事業者も十分に警戒する必要があると思います。今後同様の被害を繰り返さないために対策を取る必要があるので、復旧作業が落ち着いたところでドワンゴからも攻撃の状況を共有してもらうことが必要でしょう。