ケバブといえば中東イスラム圏を中心とした地域の料理というのが一般的な認識ではないでしょうか。基本的には何かを焼いた料理のことを指すようなので、特定のこれというレシピなどがあるわけではないようですが、このケバブの発祥を巡って論争となっているのだそうです。
「国際ケバブ連盟」(International Doner Federation)という団体があるのだそうですが、今年4月にこの団体がEUに対してトルコでの伝統的な調理法でドネルケバブを登録しようとしたのに対して、ドイツではケバブが普及して多様化しているため、反発が起きているということのようです。登録が認められるとケバブがナポリピッツァやフランスのシャンパンのように保護されることになるようです。
ドイツの主張としては、すでにケバブがドイツ文化に根付いているため、今さら困るということなのかもしれませんが、これは立派な文化盗窃なのではないでしょうか。日本の寿司がすでに海外で独自の進化(?)を果たしていることは知られていて、これに対して多くの日本人は寛容ですが、寿司の伝統を守ろうという人にとっては面白いものではないでしょう。それと同じようなことだと思います。
ドイツにはトルコからの移民が多数住んでいるはずなので、そういう人たちがドイツ国内でケバブを広めたはずですが、彼らにとってはどういう思いなのでしょうか。トルコ側はドイツに対する攻撃的な意図はなかったと言っているようですが、難しいところですね。ただ、「ドイツ発祥」と言ってしまうのはさすがに無理があると思います。
なお、時事通信のこの記事は今日8月14日付けのものですが、ほぼ同じ内容の記事がHürriyet Daily Newsというトルコのメディアには”Germany reacts to Türkiye’s döner kebab application to EU“というタイトルで7月1日に掲載されています。1か月半ほどの遅れがあることになりますが、仕方のないことですかね。