日本語では「自動体外式除細動器」と呼ぶらしいですが、おそらく英語のAutomated External Defibrillatorを略したAEDと言ったほうが「ああ」と分かる人が多いのではないでしょうか。Defibrillatorとは除細動器のことで、不整脈に対して電気的な刺激を与えることで心室細動を取り除き、正常な心拍に復帰させるもので、AEDはこれを自動化して一般人にも取り扱えるようにしたものです。私も職場でAED取り扱いのレクチャーを受講しましたが、AEDから電子音声で指示される通りにすればよく、機器そのものはほぼ全自動なので簡単です。コツと体力が必要なのは心臓マッサージの方で、これは私もダミー人形の経験しかないので、実際に人に対して正しくできるものなのか未だに自信がありません。
AEDなんていうものは使わずに済むならそれに越したことはないわけですが、いざというときにはこれがあって助かる命があります。今日はそんなニュースを見て、嘘のように幸運が重なっていたので取り上げてみたいと思います。
「心肺停止状態の男性救う…居合わせた10人が“奇跡のファインプレー” リュックサックから「AED」そして心臓マッサージも 福岡」というテレビ西日本の記事ですが、まずそのタイトルの「リュックサックから「AED」」という部分が謎です。時系列順に箇条書きにしてみると以下のような感じです。
- 少年野球の審判をしていた40代の男性が痙攣を起こして倒れる
- 少年野球の監督がベテラン救急救命士で、AEDが必要と判断
- 近くにいた保護者が子どもがプールで溺れた経験からAEDを持っていた
- AEDを装着して使用したのが中学校の保健体育の教師
- その他周囲から警察官・看護師・消防団員が集まる
AEDを持ち歩いている人がいたというのがかなり奇跡的ですが、その方も自分では使ったことがなかったでしょうから、AEDの指導をして慣れている体育教師がいたというのも良かったのでしょう。その他にも危機対応に慣れた人がたくさん集まったことで、適切に連携を取ってこの男性の命も救われ、1ヶ月で社会復帰できたというのは素晴らしいことです。心臓マッサージも一人で続けることはできませんから、多くの人の協力が得られたというのは重要です。
こんなまさに奇跡としか思えない出来事はそうそうないでしょう。今回はこうして協力した方々に久留米市消防局から感謝状が贈られたということでニュースになったようですが、一方で倒れた女性に対してAEDを使用して救命した後で強制わいせつで訴えられたなどという話もあります。そういうことがあるとどうしても女性に対しては躊躇してしまいますから、そんな訴えを起こす人は相手を困らせるだけでなく、他の女性達を危険に晒しているということにもなります。ためらわず使用するように言われてもそんなリスクがあると二の足を踏んでしまうものですが、ぜひ勇気を振り絞って拾える命を拾いたいものです。