愛知万博「愛・地球博」の開催や中部国際空港の開港で今年は非常に盛り上がっている東海地区ですが、その南端にある知多半島南部の2町の合併話も思いのほか大きな話題になってしまいました。というのも、合併後の新市名を「南セントレア市」と名付けることに決定してしまったからです。先週末には合併自体への賛否を問う住民投票と、新市名についてのアンケートが実施され、結局合併自体が両町とも過半数が反対して白紙となってしまいました。新市名についても「南セントレア市」への賛成はわずかだったようですが、これでようやく知多半島の住民の方々の良識を疑わずに済みました。

そもそも、新市名については住民からの公募を行っておきながら、その中には含まれていなかった「セントレア」という名前を入れてしまったという、合併協議会の横暴だったわけです。合併後の自治体名称の決定は協議会に委ねられるものなのかもしれませんが、公募の結果を完全に無視した今回の「南セントレア」については役人の暴走としか思えません。私自身は公務員に必要以上の裁量権があるということが問題だと常々感じているわけですが、今回の内容は完全に裁量権の乱用です。

だいたい自治体に「セントレア」などという名前が恥ずかしいと感じられない協議会メンバーのセンスが不思議でなりません。centralとairを組み合せた造語だということですが、これはあくまで愛称だからこそ認められるもので、自治体の正式名称にはそぐわないのは明らかだと思います。以前、ひらがなの自治体名が増えてきているということに不満を述べましたが、セントレアについてはカタカナだからというわけではありません。すでに発足している「南アルプス市」については、ヨーロッパの人が聞いたら苦笑してしまいそうな名前ではありますが、地域に定着している呼び名であるということで、まだ認められないことはありません。「中央アルプス市」の方は住民投票で否決されてしまったようですが、さすがに「南」のあとで「中央」というのはまずかったのでしょうね。

セントレアなどというのも開港当初はちょっと洒落た観光スポットの名前でいいかもしれませんが、10年かそこらですっかり古ぼけたものになってしまうということに気付かなかったのでしょうか。空港施設の愛称など必要があればいつでも変えることができるでしょうが、自治体名はそう簡単に変更できるものではありません。数十年たったときに「セントレアって一体…ということになるのは必至ですが、決めた当人たちはどうせ生きてはいないだろうからどうでもいい、ということだったのでしょうか…

まあ何にせよ、他人事ながらちょっとほっとしてしまいました。

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