ASCII私がまだ小学校に上がるか上がらないかという頃であった1977年に誕生し、これまでおよそ30年にわたって一般向けの「パーソナルコンピュータ総合誌」としてPCに関わりのある事柄を幅広く取り上げてきた、パソコン誌の代表的存在であった月刊アスキーがついにその幕を一旦下ろしました。詳細は未定・未発表ながら大きく模様替えを果たして今秋には復刊するということですが、果たしてどうなることでしょうか。特にアスキーを購読するような層の多くのPCユーザが情報をインターネットから得るようになっているこの時代に、どうしても企画・取材から発行までにタイムラグの生じる紙媒体からは速報性が失われてしまい、情報誌というものが生き残っていくのは難しいのでしょう。

その休刊前の最終号となる2006年8月号を私も購入してみました。週刊アスキーの方は移動中の時間つぶしなどに手頃なのでたまに購入していますが、月刊アスキーの方は前回がいつだったかはもう記憶にもなく、数年ぶり、おそらく5年以上前ではないかと思います。今回は記念ということもありますが、「完全保存版パソコン30周年特別記念号」ということで組まれている特集「伝説のパーソナルコンピュータ100+」の中に、私が最初に使っていたJR-200というパソコンが堂々と取り上げられているのを見付けたということが強力な動機となっています。そのほかにも2005年1月号からののアスキーの特集記事がPDFで収められたDVDが付録となっているのも魅力的でした。

今回のアスキーの特集を見ながらこの30年というPCの歴史を振り返ってみるとその進歩は目覚ましいというよりも恐ろしいほどのものです。ちょうど30年前の1976年に第一次パソコンブームのきっかけとなったNECの1ボードコンピュータTK-80に搭載されていたのはμPD8080Aという8ビットのCPUでそのクロックは2MHz、RAMはわずかに512Bytesでした。それが30年経った今、私が使っているPCでも2GHzの64ビットCPUで、RAMも1GBになっているのですから、クロック比で1024倍、RAM容量は2048倍にもなっているのですから、やっていることが全く違うとはいえこれでももはや十分な能力とは言えないというのは一体どういうことなのかと思ってしまいます。

しかし、こういうことが見やすい形でまとめられているというのはやはり雑誌ならではのことです。ネット上の情報にしてもベースとなっているのは綿密な取材の結果なのですから、事業として何とか採算が合うようにならないと整理された有益な情報を得ることも難しくなってきてしまいます。アスキーには何とか踏ん張って欲しかったところですが、私もほとんど購入していなかった以上偉そうなことを言うわけにも行きません。他の雑誌の多くも購読者は減る一方で厳しい状況に違いはないのでしょうから、今後はPC雑誌の多くが淘汰され、下手すると全滅してしまうようなこともあるのでしょうか?それでもメディアが紙からウェブなどに変わるだけであればいいのですが…

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