TransRapidドイツが誇る磁気浮上式リニアモーターカー、TransRapidがドイツ北西部Lathenの実験線での高速走行中に、軌道上に停止していた工事用作業車に衝突し大破するという事故が起こりました。この事故により、試乗していた29人の見学者のうち15人が死亡、現在でも4人が車内に閉じ込められているということであり、また軌道上にいた作業員2名も行方不明ということで、これらの不明者も含めた21人が死亡したと見られているようです。

全長31.5kmの実験線のうち、スタート地点から1kmほどの地点での事故ということですが、この地点で車両は200km/hに達していたそうです。これがもし最高速度である450km/hなどで走行していたのであれば車両はバラバラとなり、生存者も見込めなかったと思えばまだ不幸中の幸いと言えるのかもしれません。

このTransRapid上海浦東国際空港のアクセス鉄道として上海郊外からの30kmの区間で供用されており、磁気浮上式の高速鉄道として世界で最初に営業運転を開始していることでも知られています。しかしこの上海の路線でも今年8月に火災事故が起きており、また開業までの間にも様々な問題があったようで、この路線自体もドイツにとっては実験的な意味合いがあったのではないかと勘繰りたくなってしまいます。自国で実用化されていないものをよく他国に売り込む気になれるものだと思ってしまうのですが…

リニアモーターカーといえば私も子供の頃から近未来の鉄道として夢の乗り物のように描かれてきたものですが、実用化にはなかなか時間がかかっているようですね。万博などでは度々出展されていますし、愛知万博でも会場への足としてリニモが登場しました。近距離の交通システムとしては既に実用化されたと言えるのでしょうが、目玉となる「高速」という面では安全面などなかなか難しいところがあるのでしょう。ひとたび事故が起こると、高速なだけにその大きなエネルギーにより被害も甚大なものとなってしまいますので、従来の鉄道以上の管理が必要となります。今回のような事故により改めてそれを実感させられます。

ドイツの官民一体となって開発が進められているTransRapidはまさにドイツの技術の粋が結集されたものと言えるのでしょうが、今回の事故により大きな傷が付いてしまいました。日本のリニアモーターカーも頻度は低いながらも見学者らの試乗会を開催しており、あくまで実験なので安全対策は万全とは言えないのでしょうが、今回のような初歩的とも言える事故は起こさないように気を付けてもらいたいものです。

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