SONYDellのノートPCのバッテリが公の場で爆発したことがきっかけで同社が軽410万台という大規模なリコールを発表し、それに追随するような形でAppleもバッテリー交換プログラムを開始した、というのは先日もこちらに書いた通りですが、その後も何件かの爆発・炎上事故が報じられたことで世界中のユーザーが不安を感じ、また飛行機の機内へのノートPCの持ち込みが制限されるなどの不便も強いられるようになってしまいました。

これまで全く取り上げられることのなかったPCの炎上という「事件」が、ある日を境に突然センセーショナルに何件も報じられるようになりましたが、そんなに急に頻発するようになるとも思えませんし、世界中に何百万台とあるPCのうちのたかだか数台、割合にして1ppm程度のことですから突然大騒ぎするのもどうかという気が個人的にはしています。またマスコミがここぞとばかりに煽っているだけではないでしょうか。

まあそうは言っても企業はイメージというものも重要ですから、これを放置すればバッテリを製造したソニーの信用も地に堕ちることになってしまうので、目前の損益を取るか長期的な経営を取るかというところでソニーの首脳陣は後者を選ぶことにしたということでしょう。ソニーから「ノートブック型コンピュータ電池パックの『自主交換プログラム』」を検討中であることが発表されました。対象台数や費用の規模はまだ明らかになっていませんが、経済的には甚大な打撃を被ることになるのは間違いありません。

国内の話で言えば松下はファンヒーターの回収では迅速に相当大規模なキャンペーンを実行し、企業イメージはむしろ大きく向上したのではないかと思われますが、対してパロマの方はタイミングを逸して対応が後手に回ってしまったような印象を拭うことはできませんでした。今回のソニーの決断は吉と出るか凶と出るかのまさにギリギリのタイミングなのではないかと私は感じていますが、実際のところ世界中のユーザーにどう受け止められることになるのか興味深いところです。

私が個人的にソニーに持っているイメージは、先進的なアイデアを具現化する企画力と開発力は他のメーカーとは一線を画してはいるものの、製品そのものの品質・信頼性の面では手放しで褒められるようなものではない、というようなところなので、今回の件に関しても「やってしまったか」というような感じで受け止めています。なんだかんだ言ってもソニーの製品には魅力に溢れたものが多いですし、友人も働いていたりするので何とか無事に乗り越えてほしいと思っています。私にできるのは陰から応援することくらいですが…

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