Adobe Reader 8今や官公庁や企業によるドキュメント配布時のフォーマットのde facto standardになったであろうPDFファイルを見るための、同じくde facto standardと言えるのがAdobe Readerでしょう。PDFはもともとAdobeが開発・提唱したものですが、この企画自体はオープンになっているので誰でも作成・閲覧のためのソフトウェアを開発することができます。実際に有償・無償を問わず様々なアプリケーションがPDFの生成や表示に対応しており、PDFはAdobeだけのものではありません。しかしながら閲覧に関しては、最新の規格にいち早く対応し、また高品質な表示と高度な操作性、高速動作を実現しているAdobe Readerには特にWindows環境ではなかなか他のアプリケーションも太刀打ちできないようです。

そんなAdobe Readerが今月6日にバージョンアップを果たし、Adobe Reader 8の公開が発表されました。今回のリリースではユーザインタフェースが一新され、操作パネルのカスタマイズ性が向上し、PDFの最新バージョンである”1.7″にも対応したということです。またGPUアクセラレーションも採用して3Dコンテンツなどの表示パフォーマンスが向上しているということですが、私はまだPDFの3Dコンテンツというものに出会ったことがないのでその効果はわかりません。

ということで例によって新しもの好きな私はまたすぐにダウンロードしインストールしてみたわけですが、今回は私にとってかなり嬉しい改善ポイントがありました。それは、これまでのAdobe Readerではズームを「全体を表示」にした場合でもページの周囲に無意味な空間があり、ウィンドウの枠との間に無駄な隙間があるのがかなり気になっていたのですが、Adobe Reader 8で「全体を表示」にした場合にはこの隙間がかなり小さなものに抑えられているのです。全くなくなってしまうとページの端がわからなくなってしまうので、この程度はあった方がいいかもしれないと思える程度の、数ピクセル幅の隙間になっています。また特に見開き表示した場合にはページの間をつないで表示することもできるようになっており、画面サイズをかなり有効に使うことができるようになりました。

私は仕事柄PDFファイルで提供される1000ページ程度のリファレンスマニュアルなどをたぐって読むことが多いので、Adobe Readerをかなり使用している方だと思うのですが、今回のAdobe Reader 8を職場のPCにもインストールしたいと思ってもこれが出来ないということに気付きガッカリしています。というのは、このAdobe Reader 8の必要システム構成はWindowsの場合は2000 SP4またはXP SP2およびVistaということになっているのですが、職場のPCは未だ2000 SP3なのでした。ファイアウォールの内側だからということでシステム部門はセキュリティフィックスには無頓着で、サービスパックの適用による不具合を回避したいということでWindows Updateなども禁止されているのです。本当にファイアウォールの内側なら大丈夫なのかというのはあまり根拠がなさそうな気もするのですが、そういう環境の人も多そうなのでとりあえずここは諦めざるを得ません。

ところで私がPDFリーダに切望している機能が一つあるのですが、それは今回も盛り込まれることがありませんでした。それは、1000ページほどもあるマニュアルを行ったり来たりしながら見ているとき、紙媒体であればしおりや指に相当するような「今のページを覚えておいて後ですぐに戻れるようにする」というものです。Adobe Readerでいう「しおり」はあらかじめPDF自体に設定された箇所に飛ぶことができるだけのものですし、ブラウザのように前に戻るという機能でも3カ所以上を「行ったり来たり見比べながら」には向かないので私の希望する用途には使えないのですが、そんなに実装が難しいものとも思えないのになかなかサポートしているアプリケーションもないのが不思議です。Adobeにはこういう希望を伝える窓口はあるのでしょうか?私の数年来の願いなのでいつか叶えてもらいたいものなのですが…

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