すでにあちこちで散々報じられていることですが、京都地裁で行われていたファイル共有ソフトWinnyの作者である金子勇氏に対する第一審で、著作権法違反幇助について罰金150万円の有罪判決が下されました。これに対し金子氏側は即日控訴し争う構えのようです。

これについては各所から様々な反応が出ていますが、特にネット界隈では金子氏を擁護する意見が多く、@ITでも「『Winny裁判』で有罪判決、自由なソフト開発はもうできない?」という記事の中で「ソフトウェアの公開が萎縮する恐れがある」というような「識者」の意見を紹介しています。自分の開発者が違法な目的で使われるかもしれないということをソフトウェア開発者の「リスク」だといっているわけで、確かにそういう問題があることはわかりますが、このWinnyのケースにそれが当てはまるとは私には考えられません。

金子氏側の主張では「著作権侵害の意図はなかった」ということになっていますが、本当にそうであればWinMXの後継であることを意識して後ろ2文字”MX”を1つずつずらして”NY”としたWinnyなどという名前にするでしょうか。またWinMXに関する2ちゃんねるのスレッドで自ら公開したりするものでしょうか。これらだけでも私には金子氏の主張を否定する十分な根拠になるのではないかと思われます。

百歩譲ったとして公開に至る以前の本当の当初は研究目的で開発されたものであったのかもしれません。しかしWinMXやその前のNapsterなどの「ファイル共有ソフト」の類によって違法ダウンロードが著作権的に問題であるということはWinnyが公開されるときにはすでに話題になっていたことであり、WinMXよりも匿名性が強化されているということを売りにしてWinnyを公開しておいて「違法なファイルをやりとりしないでくださいと注意してきており、逆にそういった行為を煽るようなことをしたことはない」などという主張は空しいものです。

ファイル共有ソフトの有用性を訴えたりもしているようですが、匿名ではないBitTorrentが合法的なダウンロードツールとしてそれなりに普及していることを考えると、Winnyの匿名性が何のために与えられていてなぜ必要なのかを問われたとき、つじつまの合う答えを返すことはできるものなのでしょうか。BitTorrentも違法ダウンロードにも利用されてはいるようですが、その摘発はWinnyよりも容易であるはずであり、BitTorrentの開発者が同じ罪に問われ、有罪となるようなことはないでしょう。

それにしてもすでに数人のユーザが逮捕されたり、情報流出が社会問題にまでなっているというのに未だに40万ノード以上が利用されているというのが私には信じられません。今でもそれなら最盛期には一体どれほどのものだったのかと想像すると空恐ろしくさえありますが、そんな状況であれば本当に「著作権の概念を破壊しようと思った」などというのも現実味を帯びてきませんか…

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