The Mail on Sunday御大はご健在

先月15日、イギリスの新聞Daily Mailの日曜版であるThe Mail on Sunday紙に、24日に発売予定だった元「元プリンス(AFKAP)」ことPrinceのニューアルバム”Planet Earth“が付録としてついてきたというのは大きなニュースとなりました。これについてはWired Visionに詳しい分析が載せられていますが、関連業界には波紋を呼びつつも話題作りとしては大きな成功を収めたようですし、Prince自身もThe Mail on Sundayにタダで提供したというわけではないので、プロモーションとしては斬新に見えながらもなかなか堅実なものだったのではないでしょうか。ちなみに、今週のThe Mail on Sundayには80~90年代に一世を風靡したBananaramaのベスト盤がついてくるようですが、2匹目のドジョウは上手く見つかるでしょうか。

残念ながら日本に住んでいる私はこのPrinceのニューアルバムを付録として手に入れることはできなかったわけですが、先日Tower Recordsに寄ったときにふと試聴してみたところ、シングルカットされている”Guitar“のカッコ良さに強烈に惹かれてしまいました。売られていたのがCompact DiscのマークがないEC盤だったということもあってその場は買わずに立ち去ったのですが、時間が経ってもなかなか醒める気配もなかったので結局何とか入手してしまいました。

Planet Earth
アーティスト:Prince
Sony (2007/07/24)
ISBN/ASIN:B000RMC7H0

実はまだ”Guitar”以外はほとんど聴けていないのですが、この曲は本当にカッコ良くて一気にヘビー・ローテーション入りです。イントロ、というより一発目のギターの音が鳴り始めただけでもしびれてしまいます。曲全体としては80年代っぽい懐かしい部分もありながらも新しい音であり、またPrinceらしいねちっこいボーカルもマッチしていて、昔からのファンも、Princeは初めてという人も好きになれるのではないでしょうか。

外見が独特なせいなのか、実は私は数年前までどうしてもPrinceが苦手でほとんど聴いていなかったのですが、たまたま久しぶりに改めて”When Doves Cry”を聴いてみたら結構カッコいいのですよね。未だに”Purple Rain”あたりはちょっと苦手ではあるのですが、他にもいい曲が色々あることに気付いて、さすがに売れているだけのことはあり当たり前のことです。

The Artist Formerly Known As Prince一時はPrinceという名前を捨てて記号で表すようにするという奇妙な動きを見せ、私にはどうも迷走しているようにしか見えなかったのですが、今思えばこれも彼らしい話題作りなのですよね。当時はラジオなど音声メディアでは何と呼ぶべきなのか困ったことだろうと思いますが、おかげで注目は維持することができました。今回の新聞付録事件もニュース性がありつつも各方面に実益が伴っていていいのですが、損をしたのは一般のレコード店だけということで、実はレコードという既存メディアとの決別をも意味していたりするのかもしれません。まさに奇人のすることは難しいです…