The Black Eyed Peasアルバムというのは単に曲を集めただけのものではないということを再認識

今週はAppleから新しいiPodが発表され、特にiPhoneから電話とカメラを差し引いたようなiPod Touchには大変な注目が集まり、アメリカの一企業の新製品が全国紙やTVニュースで速報されるという特別な、ちょっとした騒ぎになっています。また、新しいiPod nanoもこれまでにない高解像度の液晶ディスプレイを搭載し、スムーズなCover Flowに対応したということで一気に商品価値が向上し、一方iPod Classicと名前を改められた従来のHDDタイプのiPodは容量がこれまでの2倍の80GBと160GBというかつてない大容量となり、iPodを買おうと思っていた人には実に悩ましい商品展開になってきました。

しかし音楽を聴くということについて、「何で聴くか」ということもガジェット好きな私としてはこだわらずにいられないところではありますが、それ以上に「何を聴くか」ということの方が本質的に重要なはずです。単に通勤電車の中の暇つぶしとして聴くだけのものであれば音楽でさえある必要もないのですが、朝聴く音楽というのはその日一日の気分を左右することさえありますから、やはり自分の気に入った音楽を聴いてリフレッシュするなり、意欲を高めるなり、あるいはストレスを振り払うなりしたいものです。

という偉そうなお題目はどうでもいいのですが、今さらながら最近になって聴き始めて気に入っているのがThe Black Eyed Peas(BEP)の2005年のアルバム”Monkey Business“です。

Monkey Business
アーティスト:Black Eyed Peas
Am (2005/06/07)
ISBN/ASIN:B00096S3RC

もちろんBEPの各曲はイギリスでも大ヒットしているので、私が購入しているNOWシリーズにも何曲も収録されているのですが、これまでは曲調の違う他のヒット曲の中に紛れてしまって今一つ掴みきれなかったのですが、今回アルバムを通して聴いてみることでBEPの世界に浸ることができ、その魅力を存分に感じることができたというわけです。

実はRapやHip-Hopというのは私の不得意な分野であまり聴くことがないのですが、BEPはその中でもポップでキャッチーなメロディーラインを持っているので私も抵抗感なく聴くことができます。おそらくHip-Hop好きな人から見れば軟派なグループということにはなるのでしょうが、そのおかげで一般に受け入れられやすく大ヒットに繋がっているというのは間違いないでしょう。また、BEPの楽曲には音圧の高い現代的なリズムパートがあるかと思えば、きれいなオーケストレーションも取り込まれていて、しかもそれがラップと見事に溶け合っているのが素晴らしいところです。

BEPはもともとAfrican AmericanのWill.i.am、Philippino/African AmericanのApl.de.ap、Hispanic/Native AmericanのTabooという3人組だったところに、前作のElephunkからAnglosaxonのFergieが加わったということで、人種的実に多彩な構成になっています。おそらくこうしていちいち人種を取り上げること自体が差別的で、アメリカでは特に避けるべきことなのでしょうが、こうしたことが彼らの音楽性を彩り豊かなものにしていることは間違いないのではないかと思います。ただ、Fergie加入までは逆に人種的なメッセージ色が濃かったということなので、彼ら自身もFergieによって人種にこだわることが無意味であることを学んだ面もあるかも知れません。

ちなみに私がこのアルバムで気に入っているのはDon’t Lie、Pump It、Don’t Phunk With My Heart、My Humpsあたりの曲でしょうか。いずれもシングルカットされ大ヒットしたものばかりですが、それはつまり私が一般的な感覚を持っているということにもなりますから、まあ少なくとも恥じるべきことではないでしょうね。これらの曲はSpecial Editionの方にはPVが収録されたDVDが付いているということなので、こちらの方が欲しくなってきてしまいましたが…

Monkey Business
アーティスト:Black Eyed Peas
Universal International (2006/03/07)
ISBN/ASIN:B000EJ9M1A