Apollo 13これは子供にもぜひ観てもらいたい。

昨日、人類初の月面への一歩を記したアポロ11号の帰還からちょうど40年が経過しましたが、先日のオーナーズマニュアルの記事を書いたときから何となくアポロが気になってしまい、そういえば11号が偉大なる進歩であったとすれば忘れてならないのは「成功した失敗」として知られるアポロ13号です。11号に続いて12号も月面着陸を果たしたことで、さらにそれに続くはずだった13号に対する大衆の興味は薄れ掛けていましたが、途中で爆発事故を起こしたものの奇跡の生還を果たしたことにより伝説のミッションとなったものです。

この時の事実をその13号の船長であったJim Lovell自身が「アポロ13」(原題:”Lost Moon“)という本に著しているのですが、それをRon Howardが監督して映画化した作品「アポロ13」を借りてきて観てみました。

アポロ13 【プレミアム・ベスト・コレクション¥1800】 [DVD]
監督:ロン・ハワード
UPJ/ジェネオン エンタテインメント (2009/07/08)
ISBN/ASIN:B0026P1KA6

実話に基づく物語ということではありますが、事実は小説よりも奇なりということなのか、主人公でもあるJim Lovellが様々な偶然によりこのミッションで搭乗することになり、またいくつもの不運が重なって重大な事故に見舞われ、しかし3人のクルーとヒューストンの数多くの職員とが力を合わせて苦難に打ち勝ち無事帰還する、というストーリーは実にドラマチックであり、逆にフィクションでここまでうまくつくる方が難しいのではないかというものです。実話が元であるだけに論理的な矛盾や破綻もありませんから、ついつい重箱の隅を突きたくなるような人も安心して観ることができるかもしれません。

実際のアポロ13号のミッションは1970年ということで私も辛うじて生まれていない頃だったわけですが、この作品ではその時代の人々の様子をうまく描いている、というよりうますぎて実際の記録映像と見まがうばかりです。またそれだけでなく、サターンVの打ち上げシーンのCG映像も見事な出来で、本物の映像であると言われても全く疑いようのない素晴らしいものです。

主演のJim役はまだ30代後半で若々しいTom Hanksですが、オデコの広さが気になるのは私も人のことは言えないのでこれ以上は言いません。まあ演技の方はさすがというか、他のNASAの個性的なキャラクターを演じている人も含めて文句の付けようもありません。これなら演じられている本人も納得しているのではないでしょうか。

しかし久しぶりにどうしても気になって仕方なかったのが戸田奈津子氏の字幕です。Wikipediaにも書かれていますが、「負荷」の意味である”load”を「荷重」と言ったり、スイッチの「開閉」、即ちoff/onを表すopen/closeの”close”を「閉鎖」と訳したりするのでは全く意味が通じません。外国語の専門家が技術用語に疎いのは仕方のないことだとは思うのですが、誰もそれを指摘して修正することができないまま世に出てしまうというのは問題だったのではないでしょうか。最近はそういうこともなくなっているのかもしれませんが、DVD化の際もそのままだったというのは残念なことです。

ということで一点ケチが付いてしまいましたが、それ以外の点においては良い作品だったと思います。公開当時に観た同期のI君が「良かったですよー」と言っていたのが妙に記憶に残っているのですが、それも今になって納得することができました。科学に興味を持っている子供達はぜひ観ておくべきです。私も子供の頃に観ていたらかなりのめり込んでいたことでしょう。