Orianthi with MJMichaelの死がなければ知ることもなかったかも…

今年突然亡くなったMichael Jacksonが予定していたロンドン公演のリハーサル風景を映画化した「マイケル・ジャクソン This Is It」は当初2週間限定の上映という予定でしたが、予想以上の人気に公開期間がさらに2週間延長されました。最初に観たときに非常に良かったのでもう一度観たいと思ったものの、2週間の間に2回観に行くというのは難しいと諦めていたのですが、1ヶ月あれば何とかなります。ということで、一昨日またシネコンに足を運んで観てきました。

公開3週目の平日、夜9時半からのレイトショーということで、普通はどんな話題作でも大抵ガラガラに空いているものなのですが、この「This Is It」の場合はびっくりするくらいの人が入っていて、やや小さいスクリーンではありましたが前から3列目まで人が埋まっているという状態でした。今回はレイトショーなのでさすがに子供はいませんでしたが、20代の若者から熟年夫婦くらいまで、やはりMichaelの音楽がいかに広く親しまれているかを、また話題性の大きさを物語っていました。

さて、今回は2回目ということでだいぶ落ち着いて臨んだつもりだったのですが、それでも最初の”Wanna Be Startin’ Somethin’“のムーンウォークには鳥肌が立ってしまいます。あのステップはわかっていて何度見ても不思議な動きで、他の誰が真似するよりも素晴らしいものです。それを映画館のスクリーンで見られるだけで元を取ったような気がしてしまいます…というのは言い過ぎでしょうか。

ところで、今回はどういう内容かがわかっているのでMichael以外のダンサーやミュージシャンにも注目してみたのですが、厳しいオーディションを勝ち抜いた彼らはそれぞれ素晴らしい演技です。たとえリハーサルであっても憧れのMichaelの前で気を抜くことなどあり得ないのでしょうが、リハーサルでこの出来であれば本番があったならいったいどんなものになっていたのか、それこそ伝説のライブパフォーマンスになっていたであろうことは疑う余地もありません…というようなことは前回も言いましたね。

そんな彼らの中でもひときわ注目を浴びることになったのは、まずコーラスの一人でMichaelと”I Just Can’t Stop Loving You“でのデュエットでカッコいいアドリブを披露していたJudith Hillです。母親が日本人ピアニストで、父親はファンクバンドのメンバーという音楽一家で育ったらしいJudithですが、今後の活躍が大いに期待されるソウルフルなボーカルの持ち主です。

そしてもう一人はギタリストのOrianthiです。ギリシャ系オーストラリア人という彼女は取り立てて美人というわけではないものの金髪のロングヘアが非常に印象的なので、最初はステージでの見栄えを考慮して選ばれたのかと思ってしまいましたが、実際にはしっかりした実力の持ち主で、さすがはMichaelに選ばれただけのことはあります。Michaelの追悼コンサートではJudithらと共に”We Are The World”を歌っていますが、彼女はギターだけではなく歌も歌えるのです。

そんなOrianthiの最新アルバムがBelieveです。

Believe
アーティスト:Orianthi
Geffen (2009/10/26)
ISBN/ASIN:B002NPUCP8

Orianthiの音楽は正統派のロックですが、高音のボーカルはパワフルで、エネルギッシュなギターの音色によくマッチしています。最近になってようやくギターの良さがわかってきたような気がする私は最初からすんなり聴くことができ、何度も繰り返し聴いていますが今のところ飽きてしまうようなことはありません。もちろん彼女の音楽はMichaelのものとは大きく違うので受け入れられる層も違うでしょうが、私は結構気に入りました。

やはりギターの実力でMichaelとステージを共にしようとしていただけのことはあり、どこに出ても恥ずかしくはないでしょう。これまでは表舞台になかなか出ることができなかったかもしれませんが、今回「This Is It」の映画化により世界中の多くの人々が目にし耳にしたことで、一気に活躍の場が広がるのではないでしょうか。もしもロンドン公演が予定通り行われていて映画化されることもなかったとしたら、Orianthiの名前も知られることなく単なるサポートギタリストとして終わってしまっていたかもしれませんが、こうして私が知ることができたのも何かの運命なのでしょうか。決して何かのおかげとは言いたくありませんが…