時をかける少女いちいち派手にこけなくてもいいと思うんですが。

REGZAを購入して以来、あまりに簡単に予約できるものでついつい次々と録画してしまう一方、落ち着いて観る時間はなかなか取れないので、1GBのUSB HDDには観なければならない映画などがいっぱいになったままという状態がずっと続いてしまっています。今日はたまたまぽっかり時間があいたもので、そんな中から2月末にNHK BS hiで放送されたときに録画していた「時をかける少女」を観てみることにしました。NHKは受信料には不満もありますが、おかげでCMが入って中断されることがないのは良いですね。

時をかける少女 通常版 [DVD]
監督:細田守
角川エンタテインメント (2007/04/20)
ISBN/ASIN:B000MEXAOM

「時をかける少女」は筒井康隆同名ジュブナイル小説が原作ですが、今回観たのはこれまでに4回映画化されているうち唯一のアニメ作品である2006年版です。最新の映画化作品は今年3月に公開されていますが、2月にテレビで放映されたのはこのプロモーションもあったのでしょうか。NHKが特定の企業のプロモーションに関わるということは建前上あってはならないことかと思いますが…

私は中学生の頃から筒井康隆のファンで断筆宣言以前の作品はほとんど読んでいて、「時をかける少女」も読んでいますが、筒井氏の作風とは大きくかけ離れた作品になっているので違和感があったのを覚えています。しかし作品の内容は全く覚えていなかったのですが、それでも全く問題ありませんでした。というのも、本作のストーリーは原作から大きく改変されて現代的なものとなっていて、タイトルのほかはごくごく基本的な設定が共通となっているだけなのでした。

まあ今映画化されるなら現代の高校が舞台になっていないと観客にも受け入れられにくいでしょうからそれに合わせて設定が変わるのも仕方のないことでしょう。今の高校生なら携帯電話を持っていて当然なのでしょうし、生活の一部となっているので画面にも登場させないわけにはいかないことでしょう。原作が書かれた頃には高校生が一人一人電話を持ち歩いているなんて夢物語に近いものだったのですが。

それはそれとして、この映画の登場人物は実に生き生きとしていて、観ている私まで甘酸っぱい青春時代を思い出しそう…といっても男子校に通っていた私はこんなに楽しそうな日々は送っていなかったので、どちらかというと後悔のような感じだったりします。共学校に行っていたとしたら今の自分は無かったので、本当に後悔しているわけではありませんが…でも本当に楽しそうで羨ましくなってしまいました。

結局この作品はこういう「青春」を主題に描いた映画なのです。青春映画というと実写だと青臭くて観ている方が小っ恥ずかしくなってしまうものですが、その点アニメの方が向いているのかもしれません。また、主人公の真琴は実に非常識でユニークなキャラクターですが、それもアニメならではです。「時をかける少女」がこんなに笑える作品だとは思えませんでした。筒井作品であることを除いても、期待していた以上に楽しめましたので、あまりアニメを観ないという方も一度ご覧になってみれば高い評価にも納得出来るのではないでしょうか。