Transformers: Dark of the Moonやっぱり男の子向き。

宇宙の他の星からやってきた金属生命体が、普段は自動車の形をしていて喋るときや戦う時はロボットの形に変形する、というどう考えても荒唐無稽としか言い様のない設定なのに、不思議なほど現実味を感じて没入してしまい映像の力に驚かざるを得ない映画「トランスフォーマー」シリーズですが、そのシリーズ3作目となる「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」が先週末から公開されました。このシリーズはこれまで次男と二人で観てきているのですが、前2作をBlu-rayで観た長男が今度は映画館で観たいというので、今回は家族の男子3人で初めて映画館へ行って観てきました。

また今回はシリーズ初の3D上映となっていますが、もともと3Dには否定的だったという監督のMichael Bayを、「アバター」で3D映画ブームを巻き起こしたJames Cameronが説き伏せて3Dカメラでの撮影が行われたということです。最近は3D映画が乱立するようになってその出来具合も玉石混淆といった状況ですが、通常の2Dカメラで撮影した後にCG処理で3D加工するような小手先でごまかしたような作品が多い中、「アバター」と同レベルの3D効果が得られるようであればその没入感も相当なものとなるはず、と大いに期待されるところでした。実際に観た感じでは、冒頭のシーンでカメラがティルトする際に強い立体感を感じてさすがと唸り、またその後のシーンでも奥行きを感じる場面がいくつもありましたが、全体的にはごく自然でいわゆる「3D疲れ」のようなものはありませんでした。

今作でも主人公Sam Witwickyを演じるShia LaBeoufやその両親、William Lennox大佐役のJosh Duhamel、Seymour Simmons元セクター7捜査官役のJohn Turturroら主なキャストのほとんどは続投ですが、例外なのはヒロインです。前2作でねちっこいセクシーさで魅せていたMegan Foxが監督のMichael Bayを「ヒトラーのようだ」と批判したことが製作総指揮するユダヤ人のSteven Spielbergの逆鱗に触れ、急遽降板することとなってしまったそうです。私自身はMeganあってこそのトランスフォーマー…は言い過ぎにしても、彼女の存在がこのシリーズで果たしていた役割は小さくないと思っていたので非常に残念でした。このMeganの代わりに今作でのヒロインの座を得たのはRosie Huntington-Whiteleyというイギリス人モデルで、この作品が映画デビュー作ということですが、やはりMeganの魅力には及ばないかな、と感じずにはいられませんでした。まあ役柄の違いも大きいのだとは思いますが。

それにしてもこのシリーズはやはり男子にはたまりません。Autobotsの変形シーンのかっこ良さといったら、それだけを繰り返し何度も見ていても飽きないのではないかというほどのものです。そしてロボット型に変形した後での戦いぶりも大迫力かつ自然な動きで見とれてしまいます。また今回は自動車形状でも武器を使用するようになり、また動きの幅が広がったと言えます。まあ何にせよ、この作品の一番の魅力はなんといっても理屈抜きに「かっこいい」という所にあるのは間違いありませんが、この点ではシリーズ最高と断言できます。

結局、いかに非現実的なストーリーであっても、かっこ良ければそれでいい、ということです。このシリーズはそれに尽きますが、男の子とかつての男の子が理屈抜きに楽しむことができる痛快な映画として右に出るものはなかなか無いと言えるのではないでしょうか。