バカバカしいと思いつつ…
映画のジャンルにも色々ありますが、いつまでも飽きられずに続いている様子なのがゾンビ映画です。私は以前「ランド・オブ・ザ・デッド」を観て激しく後悔して以来、やはり苦手なジャンルです。しかしそれはホラーだから苦手なのであって、ゾンビが出てくるだけなら大丈夫だろう、とは思うのですが、ホラー以外でゾンビが出てくるというのはなかなかないことです。基本的に、単に死人が蘇ったというだけではなく、生きている人間を食料と思って襲ってくるのがゾンビですから、ホラー以外の作品にはなかなかならないものです。
しかし、ゾンビが主人公のラブコメディ作品が公開されるというのを他の映画を観に行った時に予告で知り、これはなかなか面白いのではないかと思ってしまいました。Rotten TomatoesのTomatometerでも77%ということでなかなか評価が高く、実際なかなか面白そうなので観てみたのが「ウォーム・ボディーズ」という作品です。今のところ日本での公開は未定のようですが、アメリカでヒットすれば遅れて公開が決まるかもしれません。
物語の舞台はゾンビが跋扈する世界で、人間は高い壁で囲まれた居住区に住み、ゾンビの侵入をしのいでいます。ヒロインのJulieはボーイフレンドのPerryらとともに居住区の外に医療物資を調達に行きますが、そこに主人公のゾンビRが仲間のゾンビとともに襲いかかり、PerryはRによって殺されてしまいます。ゾンビは人間の脳を食べることでその人間の記憶を見ることができ、それによってRはJulieに好意を抱き、彼女を救って自分の住処で匿ううちにRは少しずつ生に向かって変化していく…というような話です。
ゾンビが存在するというだけで非現実的なのに、それが生き返ったり、そのゾンビに恋をしたり、そのゾンビが自分の恋人を殺して食べたのに、とまったく無理のある話ばかりです。しかしそれでも笑いあり涙あり、テンポよく話が進むので飽きることなく楽しむことが出来ました。もちろんグロテスクなシーンはほとんどなく、ドキッとさせられることもあまりありません。
Rを演じるNicholas HoultもJulie役のTeresa Palmerもとても良かったのですが、存在感がありすぎるのがJulieの父General Grigioを演じているJohn Malkovichです。この人が出てくるだけでクセのある人物だというのがはっきり分かってしまう個性の強さは良し悪しですね。しかし今となっては他の人で置き換えることは考えられません。
ちょっと良かったのはRが住処にレコードプレイヤーとレコードを色々集めていて、なかなか懐かしい曲を聞かせてくれるところです。特にJohn WaiteのMissing Youは私にとっては懐かしい1984年のヒット曲で、私が持っていたレコードにも入っていたのでイントロを聴いただけで思い出しました。他にも色々なジャンルの懐かしい曲がかかるので、サウンドトラックは楽しめそうですが、残念ながらアルバムとしては発売されないようなので、自分で集めるしかないようですね。
ということで、期せずして公開初日に見ることになったこの作品、単純明快なストーリーのライトノベルのような映画でしたが、たまにはこういう作品もいいのではないかと思いました。最後まで都合が良すぎるような気もしますが、それでいいのです、きっと。理屈抜きに楽しみましょう。