Oblivion: Jack and a fallen droneメカがカッコイイだけじゃなかった。

最近映画館に行った時に観る予告編で気になっていたのがTom Cruise主演の「オブリビオン」でした。登場するメカのデザインがとても未来的でカッコイイし、制作にもだいぶ金が掛かっていそうだし、Tom Cruiseが選ぶならそんなにつまらない脚本のはずはないし、と思ったのですが、その割には前評判をほとんど目にしなかったので一体どうなっているのだろうと思っていたのでした。結局あえてプロモーションには力を入れなかったということなのでしょうか。Rotten TomatoesTomatometerも59%と微妙なところですが、まあ50%を超えていれば大丈夫だろうということで観てみる事にしたのでした。ちなみに今回は「どうせ英語が聞き取れないし、SFは好きじゃないから」と嫌がる妻を「寝ててもいいから」と無理やり引きずっていったのでした。

舞台となるのは2077年、その60年前のScavenger(ゴミ漁り)、略してScavと地球人が呼ぶ異星人との戦争で荒廃した地球で、生き残った人類の大半は土星の衛星タイタンへの移住を済ませ、主人公のJack Harperは通信士で恋人のVictoria Olsenと二人だけで地上数千フィートの「タワー」に残り、地上を監視する「ドローン」のメンテナンスを期間限定の任務としています。しかしその任期満了を目前に控えたある時、宇宙船「オデッセイ」が地上に墜落し、休眠カプセルに入っていたJulia Rusakovaを救った時からJackの単調な日々は急転します。
Oblivion: Julie
SFにはいくつかの古典的なアイデアがありますが、この作品はその中の宇宙人侵略ものなのかと思いきや、実はそれ以外のアイデアを幾つか組み合わせたものであることがこの後の展開から明らかになります。予告編に出てきたあのシーンがこういう形で繋がるとは、ということは普通の映画でもよくあることですが、この映画の場合は本当に思ってもみない展開で楽しく観ることができました。

主な登場人物はTom Cruiseが演じるJack、Olga Kurylenko演じるJulie、Andrea RiseboroughのVictoriaの他で目立つのはMalcolm Beechを演じるMorgan Freemanくらいでしょう。後はSallyの映像で登場するMelissa Leoが印象に残るかもしれませんが、その他はもう名前も出てこない人が数十人いるくらいで、設定上当然ながら印象的にとても登場人物の少ない映画です。さすがにMorganは非常に存在感がありますが、今ひとつそれを活かしきれていないような気がしないでもありませんでした。
Oblivion: Ship
この映画の見所の一つはやはり予告編でも非常に印象的なメカデザインです。中でもJackが移動に利用する飛行体は球体と直線とで構成された、白と無色透明のみの色のない機体で未来を感じさせるデザインで、また飛行時の姿勢変化などが美しく見惚れてしまいます。また住居兼基地となっているタワーも不必要と思えるほどにデザインされていて、日本のアニメの影響も受けているのかもしれません。

ということで、私は期待を大幅に上回る面白さで非常に楽しむことができたのですが、残念ながら妻の方はセリフがわからなかったというだけでなく、SFに慣れていないということもあってダメだったようです。確かにSFの約束事のようなものを知らないと、この作品の途中で明らかになる新しい事実が何を意味するのかということがすぐに分からず、面白さも半分ほどになってしまうかもしれません。まあそんなに言うほど高度なものではなく、決して難しくはないのですが、SFファンなら間違い無く楽しめるということははっきり言えるかと思います。