The Hostまあ軽い感じで。

トワイライト」シリーズの大ヒットで一躍人気作家の仲間入りをしたかのようなStephenie Meyerですが、実は作家としてのキャリアは非常に浅く、「トワイライト」とその外伝的な作品の他には短編が1つと、長編は「ザ・ホスト」があるのみのようです。「トワイライト」では幸運をつかむことができましたが、ティーンエイジの女子を中心としたヒットになったこの作品よりも「ザ・ホスト」は若干高めの年齢層を狙った作品のようです。この作品も「トワイライト」ブームの熱気が冷め切ってしまう前にと映画化されたので、その”The Host“の方も観てみました。原作が公開されたのが2008年ということでまだ5年しか経っていないことになりますが、実際には出版された時には既に映画化は既定路線だったのでしょう。なお、現時点では日本での公開は未定のようですが、「トワイライト」の人気も日本ではかなり限定的だったように思うので、この作品の公開は難しいかもしれません。

さて、舞台はそう遠くない未来、「ソウル」と呼ばれる寄生地球外生命体に侵略された地球です。人間の体を宿主(ホスト)として神経に寄生する小さな生命体で、外見上は黒目がリング上に青白く光ることで見分けることができます。通常は宿主の精神をそのまま乗っ取り、ソウルの意識だけが存在するようになるのですが、主人公であるMelanieの意識はWandererと名乗るソウルに寄生されたあとも存在し続け、Wandererの意識や行動に影響を与える、というような設定・展開になっています。そして、このMelanieのかつての恋人と、さらにWandererを愛する者が出てきて、複雑な三角関係(?)が生まれることになるのがこの作品のユニークなところと言えるでしょう。

このような設定からジャンルとしてはSF恋愛小説・映画ということになっているようなのですが、実際にはSFというにはストーリーとしては科学的要素がかなり弱く、私はむしろファンタジーなのではないかと思っています。映画の評判でもSFとして観てしまったためがっかりした人が多いようですが、最初からStephenie Meyerのファンタジーだと思って、「トワイライト」に近いものだと思えば良いのではないでしょうか。ただしその場合、がっかりしたと言っている人は観ないで終わってしまうのでしょうが。

ところで私はこの原作も以前読んでいるのですが、注目していたのは事実上意識としての存在でしかない、寄生された後のMelanieとWandererとをどのように描いているのだろうかということでした。まあ実際には「やっぱりそれしかないか」というようなものでしたが、それでもちゃんと二人の意識は区別して認識できましたので問題ないでしょう。

ということで、あんまり期待せずに観ればまあこんな物だろう、というような作品でした。可もなく不可もなくというか、強く印象に残るようなものでもないけれど、途中で退屈してしまうようなことはない、という感じでしょうか。どうも最近軽い恋愛モノをいろいろ続けて観たので、しばらく間を開けてみた方がいいのかもしれません。いい年したオッサンが…という声は聞こえないことにしますが。