中国でのF1初開催となった上海GPですが、新設されたばかりのサーキットのレイアウトの妙によるものか、近年のF1では少なくなったオーバーテイクシーンを数多く見せてくれる、実にエキサイティングなレースとなりました。今季で一番面白いレースではなかったかと思います。

結果はフェラーリのバリチェロがポール・トゥ・ウィンを飾りましたが、それもそんなに楽なものではなく、終盤近くまでライコネンのプレッシャーを受け続け、最終的には1位から2位バトン、3位ライコネンまでが数秒以内の差に収まってしまうということで、最後まで緊迫した展開で飽きることがありませんでした。

ミハエル・シューマッハは予選でスピンを喫しピットスタートを選び、本選でもスピンや接触を繰り返すなど、ミハエルらしからぬ走りで周回遅れに終わる冴えない結果に終わりました。本当のところはどうだか判りませんが、タイトルを決めて気が抜けたとか、投げやりになっているとかいうように見えてしまいました。

佐藤琢磨の方は初日のフリー走行でエンジン・ブローに見舞われてエンジン交換を余儀なくされたため、規定により本選スタート順位を10位降格されてしまい、18位スタートという不運にも関わらず、スタート直後に4台抜いて14位でオープニング・ラップを周るなどの活躍を見せ、最終的に6位フィニッシュという立派な結果を残しました。これにより彼自身のドライバーズ・ランキングも8位に上がり、来季以降の契約にも有利に働くのではないかと思います。また次戦鈴鹿にもこの勢いを維持して、いい結果を残してくれることを期待したいところです。

最近のF1はコース上でのバトルよりもピット戦略ばかりで順位が決まるようなところがあり、観ていてだらだらしてしまうことが多かったのですが、今回のグランプリは実に楽しいものでした。これがサーキットの設計だけによるものとは思いませんが、テレビで観ていても余裕のあるコース幅や長いストレートなど、見せ場を作る違いがあることがわかりました。またエスケープ・ゾーンが広く取られているためにドライバーが安心してバトルを繰り広げることができるという点も作用しているのかもしれません。歴史あるサーキットでの伝統のグランプリも良いですが、レース自体が面白くなければ意味がありませんので、既存のサーキットに大規模な改修を施すなり、新設のサーキットに開催地を移すなり、レギュレーション変更以外の対策で盛り上げていく必要があるのではないかと感じました。

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