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FitEar Parterre

FitEarまさに桁違い。感動しました。

私が高校に入学した時、最初の席順で私の前に座っていた男がいます。男子校なので最前列でなければそれは当然です。その彼は中学時代を海外で過ごして帰国した直後の心細い私となぜか親しくしてくれた、というより誰とも別け隔てなく接していただけのようにも思いますが、当時から何かただ者ではないと感じていました。その後二年生からはクラスも別になり、同じ大学でも彼は文系に進んだのでしばらくは特に交流も無くなっていました。

しばらく経って、彼の名前を見つけたのはインターネットのどこかだったと思います。新しいMacをいち早く分解して公表し、また様々な改造を施していることで一部で有名となっていたのです。名前を隠す意味が無いので書いてしまいますが、彼こと須山君はお父様の経営されていた歯科技工の会社、須山歯研で働いているようだったのですが、その会社の一見何の変哲もないホームページを下にスクロールしていくと、事業とはほぼ無関係のそれらMac関連の記事が書かれているという妙な状態でした。現在もそれらの記事は「はい、須山歯研です! Classics」というページにまとめられています。

その須山君も現在はお父様の後を継いで社長となっています。須山歯研では創業当初からの歯科技工に加え、その精密技術を活かして同じ医療機器分野である補聴器を事業として進めているようなのですが、近年はさらにその補聴器のイヤーモールド(耳型成形)技術を活かし、FitEarというブランドでプロ用高級オーディオ機器としてのインイヤーモニター(イヤモニ)にも力を入れているようです。プロ用の方は数多くの著名ミュージシャンが愛用しているようですが、オーディオ用の方も非常に高い評価を得ているようです。

プロ用はもとより、オーディオ用の方も高級機では購入者の耳型を取り、耳にぴったり合う形状のシェルを制作するオーダーメイドとなっており、それにより非常に高い遮音性と快適な装用感が得られるようになっています。しかし、この場合どうしてもコストが高くなってしまいますし、採寸の手間もかかってしまうということで一般的なイヤーホン同様のユニバーサルタイプも用意されており、こちらの評価も高いものになっています。今回私はこれらユニバーサルタイプのうちParterre (パルテール)という製品を手にする幸運に恵まれました。実は実際手元に届いたのはもう3ヶ月以上前の昨年末の事だったのですが、しばらくエイジングさせた方が本来の性能が引き出せるという須山社長からのアドバイスがあったのと、できるだけいろいろな状況で実際に使用してから記事にしたいという思いがあり遅くなってしまいました。

しばらく適当な音を流してエイジングしておいてから、満を持して音楽を聴いてみた時に驚いたのは、今まで何度も聴いた曲なのに聴いたことのない音が聴こえる、ということです。非常に優れた遮音性能と高い分解能が実現する、低音から高音までのバランスのよく高いダイナミックレンジがあるということでしょう。製品概要のページには

マルチドライバー(バランスドアーマチュア型)でありながら、担当する周波数レンジを完全に独立させるアコースティックフィルタ&ネットワークにより、澱みの無いピュアで伸びやかな音質を実現。
ボーカルの息づかいやドラムヘッドの鳴り、ヴァイオリンやコントラバスの指使いといったディテールの描写とともに演奏会場の空気感を再現します。

とありますが、これにはまったく偽りはないのではないかと思います。

また、音楽ばかりでなく映画などを観るときにも非常に良い性能を発揮します。低音には迫力がありながらメリハリがありますし、高い解像度により役者の台詞は当然ながら背景の「ガヤ」までも聞き取れるくらいです。私はこのパルテールを使用して先日のブレードランナーを観ましたが、同じ部屋で家族がテレビを観ているにもかかわらず、ダウンタウンの雑踏の中で日本語が背後から聴こえるのがはっきりとわかりました。

もう一つ試してみたかったのが飛行機での使用です。私はこれまで飛行機に乗る際はノイズキャンセリングヘッドフォンATH-ANC7を持ち込んで使用していて、これの遮音性能や音質に不満はなかったものの、飛行機に乗るときにはできるだけ荷物を減らしたいのにどうしてもかさばる、というのが難点でした。そこで先日のテキサスへの出張にはもしものためにATH-ANC7も持ちつつパルテールを持って行って使ってみたところ、期待以上の遮音性に驚かされました。これまでにも普段使っていたインイヤーヘッドフォンを試してみたことはありますが、どれも低周波の騒音を防ぐことができず、まともに聴くことはできなかったのですが、パルテールはまったく違いました。見事に騒音をカットし、自然なバランスで音楽を楽しむことができました。

遮音性が高いだけでなく、装用感も良く聴き疲れしないというのも大きなポイントで、音楽を聴いている時も実に自然ですし、2時間映画を見続けても耳にまったく違和感がありませんでした。構造的には一般的なカナル型ヘッドフォンと大きな違いはないように見えるのですが、補聴器製作により得られたノウハウなどが込められているのでしょうか。また、ユニバーサルタイプでもこれならカスタム品の場合は一体どれほど良いものなのかと思ってしまいます。値段はさらに張りますが、それに見合う以上のものがあるに違いありません。

これだけ素晴らしい製品ではありますが、気をつけなければいけないのは遮音性能の高さ故に、歩行中や自転車等の運転中に使用するのは大変危険だということです。この製品に限ったことではありませんが、安全な環境・場所でのみ使用するようにしましょう

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