“Where did we come from?” and “Where are we going?”
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2006年に映画でも大ヒットして一斉を風靡した「ダ・ヴィンチ・コード」の、ハーバード大学教授Robert Langdonを主人公とするシリーズは「天使と悪魔」に始まり「ダ・ヴィンチ・コード」、「ロスト・シンボル」、「インフェルノ」とヒットを続けているようですが、その最新作として2017年に発売されたのが今回読んだ「オリジン」という作品です。私はまだ「ロスト・シンボル」は読んでいないので順番が前後してしまいましたが、基本的に一話完結となっているので逆順になってしまっても何ら支障はないだろうと思っており、この次に読むつもりでいます。

オリジン 上
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オリジン 下
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Robert Langdonの教え子であり友人としての交流もあるEdmond Kirschという天才的なコンピューター科学者が、世界を変える大発見をしたということでこれを大々的に発表するためのイベントを開催します。これは世界中にリアルタイム配信されて多くの視聴者もその発表を見守るのですが…と、ネタバレを避けようとするとほとんど何も書けませんが、この作品ではUberTesla、そしてElon Muskまでもが実名で登場し、現代のテクノロジーをストーリーに取り込んだものになっています。

しかし、そのテクノロジー絡みのところが少々空滑りしてしまっているようにも思えて、これまでのシリーズのような重厚感はあまり感じられなくなってしまったのですが、しかし最後の最後の種明かしはなかなかあっと思わされるようなものになっているのではないかと思います。途中で気づく人もいるような気はしますが、私は最後まで判らず、種を明かされて空恐ろしく感じてしまいました。またそれこそが本作のテーマでもあったのになぜ気づかなかったのかということです。

なお、発表会が開催されるのはスペインのBilbaoにあるビルバオ・グッゲンハイム美術館という近現代美術を専門とする美術館ですが、その建物も非常に魅力的なもののようです。私はスペイン自体まだ足を踏み入れたことがありませんが、いつか行きたいと思っているところなので、その際はぜひ訪問先の一つにしたいと思います。グッゲンハイム美術館といえばニューヨークでも慌ただしく建物外観を眺めてきただけで帰ってきてしまいました。

映画の方は2016年に「インフェルノ」が公開されましたが、本作もいずれ映画化されるでしょうか。Dan Brownの作品は映像化されることを意識しているかのような、各地の名所を舞台にしたり、情景がリアルに目に浮かぶようなところがあって本作も例外ではないので、きっと映像美も楽しめるようなものになるのではないかと思います。しかし、UberやTeslaなどの旬が過ぎてしまわないうちに映画化しなければなりませんし、10年後には古臭くなってしまいそうで難しいかもしれませんね。そのあたりは映画化の際にアレンジされるでしょうか。

ちなみにRobert Langdonの役は映画ではTom Hanksが演じていることもあり、結構年配のイメージがありましたが、実は小説の設定では「天使と悪魔」の時点で45歳と、今の私よりも若かったのでした。本作の設定で何歳かははっきり書かれていなかったと思いますが、39歳のヒロインと惹かれ合ってもおかしくないような年齢だったのでしょうね。私は勝手に親子のような年齢を思い浮かべていましたが…