世のモータースポーツ好きに。
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この年末年始は帰省もしなかったので、私は自宅でAmazon Primeの多くの映画を観て過ごしました。あまりハラハラしたり考えさせられたりして疲れたくなかったので、ほとんどが邦画の軽いものばかり、しかも青春ものを中心に1日に何本も観てしまいました。まあそれはそれで楽しめはしたのですが、あまり心に残るものもないのでここで紹介もしませんが、テレビを見ているのと変わらないような感じですね。

一方、2019年の劇場での映画は大晦日に次男と観た2回目の「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」で締めくくることとなりましたが、2020年最初の1本となったのは「フォードvsフェラーリ」です。あまり前情報はなかったのですが、最近になって予告で目にするようになって気になっていたものです。

1963年にフェラーリの買収に失敗したフォードがそれに立腹し、ル・マン24時間レースでフェラーリを打ち負かす過程を描いたものです。中心となっているのはレーサーとしてのル・マンでの経験を買われてレース活動を担当することとなったCaroll Shelbyと、その友人でレーシングカー開発の才能を持つKen Milesの二人で、それぞれMatt DamonChristian Baleが演じるダブル主演となっています。

Christian Baleといえば昨年私も観た「バイス」で主人公のDick Cheneyを演じていてびっくりしたところでしたが、このとき20kg程も増量していた体重を一気に絞ってかなり細身になっています。さすがに本人も健康に良くないということはわかっているようですが、精神的にも良くないのではないでしょうか。今回のKen Miles役では気難しいを通り越してちょっと病的な印象もありましたが、これはKen Miles本人もそうだったのか、あるいはBaleがそう感じさせてしまっているだけなのか、どちらなのでしょうか。

物語としてはフォードがフェラーリを打ち破るという史実に基づいたものではあるのですが、決して企業としてのフォードのイメージが良くなるような作品にはなっていません。かと言ってフェラーリの宣伝になっているわけでもなく、むしろ茶化されるような形になっています。この作品で活躍するのはShelby Americanであり、美しく描かれているのはShelbyとMilesの友情です。

フォードがル・マンのために開発したのはGT40と呼ばれる車で、またShelbyが乗り回しているのはShelby Americanの代名詞的な名車である427 Cobraですが、これらの車が今でも売られているようなのは驚きです。GT40は180,995USDからとスーパーカー的な価格ですが、427 Cobraの方はFRP製であれば95,995USDからとまだ現実的…かと思いましたが、よく見るとエンジンとトランスミッションは含まずということなので、やはり金持ちの道楽ですね。ちなみに現行MustangベースのGT350GT500といったモデルはフォードから購入できるようになっているようで、そこまで現実離れしたものでもないようです。

ということで、車好き、モータースポーツ好きな人ならきっと楽しめる作品なのではないかと思います。ただ、アメリカの自動車事情もある程度知っている人のほうがより面白いと思えるかもしれません。