今回の旅行で岐阜に行くきっかけになったのはMaibaru Travelの「行き先は日本の夏休み🌿長良川を巡る岐阜の鉄道旅|水のまち郡上八幡、伝統の鵜飼、美濃」という動画でした。

この動画を見たことで、今まであまり目的地と考えたことがなかった岐阜に魅力がたくさんあることがわかったので、ぜひ行ってみようということになったのですが、その中でも印象的で外せないと思ったのが長良川の鵜飼でした。もちろん今までも鵜飼というものの存在は知っていたものの、見てみようとまでは思わなかったのですが、自分たちも船に乗って間近で見られるというのはなかなか魅力的に思えたのでした。

鵜飼観覧船の乗船券は、私達は事前にウェブサイトから予約しましたが、トップシーズンの週末などを除けば余裕があるようで、この日も当日現地での予約が可能でした。一番人気があるのは7月頃だそうです。

鵜飼は午後7時45分ごろから始まりますが、その2時間前に乗り場付近で鵜匠の1人から鵜飼について簡単な解説を聞くことができます。長良川で鵜飼を行う鵜匠は宮内庁の式部職で、全部で9人いる式部職の鵜匠のうち6人が岐阜の長良川鵜飼、残り3人は関市の小瀬鵜飼を行っているそうです。1年に8回、宮内庁の御料場で御料鵜飼が行われ、そのときに獲れた鮎は皇室に献上されたり神宮に奉納されたりするそうです。また、鵜匠は天皇家と同じく男系の世襲だそうです。

この解説の後しばらく経ってから観覧船に乗り込み、鵜飼が行われる場所まで移動します。この観覧船には色々なタイプがあるようですが、一般的なものはエンジンが付いておらず、船頭さんが竿で漕ぐものでした。私達が乗ったのもそのタイプですが、長良川のカーブの内側は水深が40cmほどしかないとのことで、竿のほうが有利なようです。

鵜飼が始まると観覧船は鵜匠の乗る船と並走して、間近で漁の光景を見ることができます。篝火の光に驚いて活発に動く鮎の鱗に光が反射して、それを見つけて鵜が捕まえ飲み込む、というなかなか考えられたものです。鵜は喉元を紐で縛られて鮎などの魚を奥まで飲み込めないようにされていて、喉に溜まった魚を吐き出させて回収するところまでが漁となっています。

これはあくまで観光の見世物として行われるようなものなのかと思いきや、最後に捉えた魚を見せてもらえるのですが、意外に多くの魚かが捕まえられていて驚きます。投網などと比べると決して効率的なものではないように思われますが、長年行われているものだけあって鵜匠の手さばきも鮮やかで、なかなかのものです。ショーとしても見応えがありました。

とかく効率を追求しがちな現代社会ですが、こういった伝統をしっかり残して後世に生きたものとして伝えていくことも重要だと改めて思いました。また、一見の価値はありますし、観覧船も通常3500円とそれほど高額なものではないので、期間中に岐阜で一泊することがあればぜひ見ておくべきものだと思います。