先日「チャレンジャーズ」を観たときにも「今年6月に公開された映画の配信がもう始まったのか」と驚いたものですが、日本では今年10月、わずか2か月前に公開されたばかりの映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」がAmazon Prime Videoで配信されているのを見つけ、これも観たいと思っていた作品だったので早速観てみました。
アメリカ大統領の暴挙に反発して全米の19の州が連邦から離脱し、テキサス州とカリフォルニア州がWestern Forcesという同盟を結んで政府軍と激しい戦闘を繰り広げる、という内戦状態のアメリカが舞台となっています。主人公のLee Smithらジャーナリストは大統領のインタビューを得るため、ニューヨークから大回りしてワシントンDCへの1400kmのドライブをしますが、その道中で様々な危険に遭い、仲間を失いながら、駆け出しカメラマンのJessieは成長していく、というような話です。
もちろんこの作品はフィクションですが、テキサスとカリフォルニアという一番あり得ない組み合わせの2つの州が同盟を結んでいるというのがあくまでファンタジーであり、あえてリアリティを持たせていないというところが、作品そのものよりも社会のために重要です。もっとありそうな組み合わせにしてしまうと、特にこの作品が大統領選挙の年に公開されているだけに、実際のアメリカ社会の分断を進ませかねない危険がありました。
戦闘シーンは映像も音響も非常に迫力があり、恐ろしさを感じさせるものです。また道中の各シーンでは緊迫した空気も見事に描かれていて、あくまで国境の外から攻撃してくる国家同士の戦争とは違い、すべてが市街戦となりすぐ隣に敵がいるかも知れないという内戦は、より恐ろしいもののように感じられました。さらに政府が機能せず無秩序状態となっているため、いつどこで理不尽に遭遇するかという恐ろしさもあります。
主人公Leeを演じているのはKirsten Dunstです。私は「エリザベスタウン」を観てからKirstenのファンになってしまい、その後しばらく彼女が出演する作品ばかりを観ていた時期がありますが、そのKirstenも素敵な歳の取り方をしていて私は嬉しかったです。なお、たまたま彼女と一緒に本作の撮影に来ていた夫のJesse Plemonsも、急遽クレジット無しで出演しています。
また、Leeを師匠のように仰ぐJessieはCailee Spaenyが演じていますが、本作はJessieの成長物語とも言えるだけに重要な役柄ですが、好演しており今後も楽しみな女優さんです。
ちなみに本作、アメリカでのレーティングはR (Restricted)なのですが、なぜか日本ではPG12となっていて差があります。侮蔑語(F**K)を連発しているからアメリカでRになっているだけ、というならわかるのですが、「強烈な暴力描写、出血・不快な画像、言葉遣い」となっているので少々不可解です。しかしながら、特に最近痛そうな描写が苦手な私も見ることができたので、侮蔑語を除けばRにはならないように思います。