クアラルンプール近郊のセパンサーキットで開催された今年のマレーシアグランプリですが、前戦オーストラリアGP同様、昨シーズンとは全く違う展開となりました。我らが佐藤琢磨は高熱によりドクターストップがかかり、残念ながらテストドライバーを務めているデビッドソンが代わりに出場するということになってしまいました。そのデビッドソンもバトンも共に序盤でリタイアすることとなってしまい、B.A.R. Hondaも去年の勢いはどこへやら、といった結果になってしまいました。また去年圧倒的な強さを誇り、今年も独走が続いてしまうのではないかと思われていたフェラーリのミハエル・シューマッハも今回も冴えず、辛うじて入賞を果たしたのが王者の意地かといったような状態です。

そんな中で光っていたのはまず前戦1,3位となったルノーですが、今回の栄誉は中盤まで3位を走行しながらウェーバーに当たってしまいリタイアを喫したフィジケラではなく、見事ポール・トゥ・ウィンを飾ったアロンソの方に輝きました。ルノーのスピードと安定感は去年から全く衰えることなく、フェラーリもB.A.R.も第一線から脱落してしまっている今、最早無敵とも言える状態になりつつあります。路面温度が50℃を超えるという厳しいコンディションの中で、フィジケラはタイヤの状態が悪いところで無理をした結果のリタイアとなってしまったのですが、アロンソの方は全く危な気ない走りでしたが、これもドライバーの実力のうちということになります。

もう一人は何と言っても去年途中までのアロンソの同僚であり、ルノーを出て以来今年もトヨタで参戦しているトゥルーリですが、なんとトヨタを参戦4年目にして初の表彰台へ導くこととなりました。しかもいきなり2位ということですが、ラルフ・シューマッハも5位に入ったということでコンストラクターズポイントをかなり稼ぐことができ、一気に2位に躍進しました。まだまだ2005年シーズンは始まったばかりで、しかもレギュレーション改正直後の混乱した時期であるとはいえ、前戦の好調ぶりに続いての結果ということでトヨタのニューマシンの戦闘能力も本物であるということかもしれません。まだ本調子でないようなホンダに代わって今年はトヨタが上位を席巻するような年になるのでしょうか。冨田代表のインタビューでも言っていましたが、準備の4年、参戦から3年は我慢に次ぐ我慢で辛く長かったことでしょうが、ようやくその苦労が実を結ぶこととなり、全く喜ばしいことです。トヨタの車と会長は好きになれない私ですが、今回ばかりは素直に祝意を表したいと思います。

それにしても今年はタイヤ交換が原則禁止されたことが効いているのか、コース上での白熱したバトルが随所で見られるようになり、観戦する側としては大いに楽しむことができるようになりました。昨シーズンは順位変動がピット作戦ばかりで起こるようで、レース本来の楽しみが失なわれていたようでしたが、この調子で一年間、緊張感のあるレースが見られるかと思うと非常に楽しみです。佐藤琢磨のおかげで日本のF1人気も復活しつつあるようですから、より多くの人に楽しんでもらえるような時間帯で放送してもらえると私も嬉しいのですが…そのためには琢磨の活躍が必須ですね。二週間先の次戦バーレーンGPこそ、琢磨の鋭い走りが見られるよう期待したいと思います。

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