PSE世界的なミュージシャンの坂本龍一らが音頭を取って反対署名が行われるなどして電気用品安全法、いわゆるPSE法が問題になっています。なぜミュージシャンが、というのはこの法律が施行されることにより古く価値のあるシンセサイザーなどの電子楽器の入手が困難になると主張しているためなのですが、本当にそうなのでしょうか。

騒ぎが大きくなったことに焦った経産省は

いわゆるビンテージものと呼ばれる電子楽器等については、希少価値も高く、絶縁耐力試験を含む自主検査について心配する声も存在する。
また、こうした電子楽器等は取扱いに慣れた者の間で売買される蓋然性も高いという特徴を有する。このため、下記の要件を満たす場合には簡
単な手続で売買ができるようにする。
ⅰ)電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼付器、写真引伸機、写真引伸用ランプハウス又は映写機のいずれかであること。
ⅱ)既に生産が終了しており、他の電気用品により代替することができないものであって、かつ、希少価値が高いと認められるものであること。
ⅲ)旧法(電気用品取締法)に基づく表示等があるものであること。
ⅳ)当該電気用品の取扱いに慣れた者に対して国内で販売するものであること。

とする対策を発表しましたが、坂本龍一らは「何がビンテージものかは役人には決められない」などとして受け入れる様子はないようです。

そもそもこの4月から施行されるというのに直前まで十分な告知を怠っていた経産省に問題があるのは間違いありません。しかし、電気用品安全法の概要をよく読んでみるとわかることですが、「特定電気用品」以外は自主検査でPSEマークの表示を行うことができ、その検査自体も簡単な絶縁性の試験などなのでそれほど高価な機器を必要とするものではないようです。「特定電気用品」というのは主に電熱器具や絶縁性が必要な器具が該当するものなので、もちろん電子楽器などはこれに当てはまるものではありません。

どうしてこんな騒ぎになってしまうのか私にも理解できないのですが、むしろ中古楽器店などは検査機器を購入して自主検査を行い、PSEマークを表示して販売することで他店との差別化を図るいいチャンスなのではないでしょうか。またこの法律は事業者を対象とするものなので、業者が出品するものでなければネットオークションなどの個人間の売買については適用されることもないでしょう。

法律というのは誰もが守らなければならないものであるにも関わらず、わかる人にだけわかるように書かれているというのが問題ですね。誤解釈のないように厳密な記述とする必要があるのはわかりますが、もう少し「ユーザーフレンドリー」であってもいいような気がします。よその国でも同じようなものなのでしょうか…

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