日本の教科書問題から発展したと思われる反日デモが、韓国に続いて中国でも盛り上がって大変なことになっているようです。日本にいる私達は対岸の火事のように眺めてしまっていますが、現地にいる日本人の方々にとってはまさに戦々兢々といった感じで、戦場にいるような緊張を強いられてしまっているのではないでしょうか。

先日検定を通った社会科の教科書で、竹島や尖閣諸島についての記述が日本の領土であるという姿勢を強調したものとなっていることや、従軍慰安婦問題を取り扱わなくなっていたりすることなどが韓国や中国の一部の人々を刺激してしまったようですが、あまり報道では触れられていない別の部分では以前より良くなっていると評価されているところもあるということです。前回騒ぎとなったときには韓国政府などは直接的に日本政府に対する抗議を行っていましたが、今回はそれがないということがその現れだということで、デモ隊を野放しにしていたり擁護するような大統領の発言があることなどは単なる政権の人気取りであって、本当に抗議するような意思はないのではないかということです。

ジャーナリズムというのは基本的に反体制的なものなので、今回の報道においても「こんな検定をするから問題が起こったのだ」というような論調のものが見られますが、教科書というのはその国の政策的立場を反映するものなので、正当な領有権を主張する竹島や尖閣諸島についても明確に「日本の領土である」ということが記述されるのは当然のことです。特に竹島については日本側から国際司法裁判所の判断を仰ごうと働きかけているのに対して韓国側がそれを拒絶したということがあるのですから、韓国側としても勝てる見込みがない非論理的な主張であるということを自覚しているということになります。

多くの日本人の若者が特に中国や韓国に対する(特に悪い)感情を持っていないのに対して、中国や韓国の学生らがこうして大規模なデモを行うほど反日感情を抱いているのは何故かと言えば、彼の地の学校教育の場において反日思想を植え付けるような教育が行われているからにほかなりません。仮想敵として日本を据えることによって、体制側がその権力を維持することができるからです。もともと日本人が過去に犯してしまった戦争犯罪が原因なので日本側も強くは言えないというところがあるのでしょうが、相手側にも状況を良くしようという意思があるとは感じられません。

同じく第二次世界大戦で敗戦国となったドイツは過去の誤ちを清算したのに、と言われていますが、具体的に何をしたら清算できるのか、どうしたら謝罪を受け入れてくれるのかというところが不明確です。日本政府もこれまでに何度となく賠償に応じていますし、謝罪も行われているはずなのですが、「それでは誠意が伝わらない」「こっちの分も賠償しろ」と言われても困るというものです。まあ、あまり言うとどこかの誰かに怒られてしまいそうですが、日本人の多くが程度の差こそあれ同じように感じているのではないかと思います。

ともかく、今の状態のままでは良い方向に事態が進展するとはとても思えません。日本側としては一刻も早い沈静化を望んでいるわけですから、日本も含め各国政府とも誠意ある対応をお願いしたいと思います。

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