今年もベルギーGPがSpa Francorchampsで開催されました。Spaという名の通り山間の温泉地にあるのですが、このサーキットは毎年変化しやすい天気が特徴で、今年もフリー走行から雨が降り、各チームともその天気を読むのに苦労したようです。

予選当日は朝から雨が降らず、青空の下でドライ路面でのアタックとなり、結果は順当にモントーヤがポールポジション、ライコネンが2番手とマクラレンの2台がフロントローを独占、そのあとフィジケラ、トゥルーリ、アロンソと続きますが、フィジケラはエンジン交換のペナルティで10グリッド降格となります。琢磨は11番手ということでしたが、アタック順が早かったことを差し引けばまずまずではないでしょうか。

決勝は朝まで降った雨が乾かずウェット状態のまま行われることとなり、各車ウェットタイヤでのスタートとなります。上位陣は順当なスタートで周回しますが、琢磨は好スタートを決めて3つポジションを上げ、オープニングラップの最終コーナーではチームメイトのバトンを抜いて6位で帰ってきました。今回の琢磨の序盤のペースは素晴らしく、5位を走るミハエルをも脅かす走りでやはり雨などの複雑なコンディションを得意とするのか、と非常に期待が高まります。一方のバトンは琢磨の1秒落ち程度のタイムでどうも冴えない走りでした。

状況が一変したのは10周目、13番手スタートから9位まで順位を上げていたフィジケラがSpa名物のEau Rouge直後のRaidillonでコントロールを失ないタイヤバリアに激突し、セーフティ・カーが入ったときです。ほとんどの車がタイヤ交換や給油のためにピットに入り、BARの2台もその例外ではありませんでしたが、ここで路面状況を読み誤ったBAR, Williamsとミハエル、クルサードはドライタイヤに交換してしまいます。結局そのタイヤではまともに走ることができず、次の周回で再びピットに入ってウェットタイヤに交換し直す羽目になり、琢磨もせっかく6番目だった順位を落すことになってしまいます。BARだけなら何をやってるんだか、という話になりますが、皇帝ミハエルも、ということなのでやはり見極めは難しいということなのでしょう。

しかし結局この直後、13周目にセーフティ・カーが抜けてローリングスタートとなった時に琢磨はミハエルに追突してしまい、両者リタイアとなってしまいました。ミハエルが琢磨に向かってかなり怒っている様子がテレビでも放映されていましたが、その怒りももっともということで琢磨はかなりシュンとなってしまっているようにも見えました。この追突は琢磨の一方的なミスということで、次のブラジルGPでは10グリッド降格というペナルティが与えられることになってしまったのもかなり辛いことです。予選走行順から考えると最後尾スタートとなってしまうのはほぼ間違いないでしょう。鈴鹿GPへの影響が懸念されます。

その後ラルフがぐんぐん順位を上げてトップのモントーヤを脅かすシーンもあり、トヨタの初優勝かとも思われたのですが、ドライタイヤへの交換を早まってスピンを喫し、それは夢に終ってしまいました。その後ライコネンにトップ譲り2位を走っていたモントーヤも終盤ピッツォニアと接触してリタイアとなってしまい、マクラレンは呪われているのではないかとつくづく感じさせられます。

結局優勝はライコネンのものとなり、アロンソのシーズンタイトル決定はとりあえず阻みましたが、アロンソは2位を堅守したため状況は一層厳しくなっています。コンストラクターズランキングの方は6ポイント差ということでまだまだマクラレンに望みがありますが、ドライバーズタイトルはアロンソがリタイアし続けない限り難しいでしょう。しかしそれよりも、私にとっては琢磨の来季のシートの方もますます厳しくなってきていることの方が気になります。途中でいい走りをしていても結果が伴わなければダメですからね…バトンはしっかり3位で表彰台に立ってアピールしています。次のブラジルは厳しいでしょうが、日本GPでは最低限ポイントを、願わくば表彰台を獲得してくれることを期待します。

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