TEPCOすでに昨夜のテレビの報道番組などはこの話題で持ち切りでしたが、昨日、旧江戸川を航行中のクレーン船のアームが27万KWの基幹送電線に接触し電線を損傷したことにより、東京都心部を中心に首都圏の139万世帯に影響を及ぼす大規模な停電事故が発生しました。停電は発生後2時間余りでほぼ全面的に復旧したそうですが、その後も交通機関や証券取引関連のシステムなどに影響を残してしまったようです。

レインボーブリッジの上で停まってしまった車両もあるというゆりかもめのほか、東急東京メトロなどの鉄道が運休を余儀なくされたり、一部の信号機が滅灯状態になってしまったりしたようですが、ちょうど盆休みの時期であったために鉄道利用者や道路の交通量が少なく、大混乱は免れることができたのは不幸中の幸いであったと言えるでしょう。

本来であればバックアップの用をなすはずの2系統の送電線が同一の鉄塔を通っていたため、今回両方の送電線を損傷してしまい停電に至ってしまったことで、「別のルートを通していれば」などと批判している人もいるようですが、全ての系統を別ルートにするために倍の鉄塔を建てるなどということは非現実的であり、その経済的負担は利用者に跳ね返ってくるということを考慮すれば止むを得なかったと言えるのではないでしょうか。

むしろ2時間余という短時間で無事に復旧できたことは見事であったのではないでしょうか。下手をすれば需給バランスを崩し、発電系統や送電系統全体に影響を及ぼしかねない状況を無難にこなすことができたのは、事前に繰り返し実施されていたというシミュレーションの成果だということで、過去のいくつかの事故の経験がうまく活かされたもののようです。

報道では私の実家の辺りも影響範囲に含まれているようになっていましたが、私がこの事件を知ったのは既に復旧したあとで、しかもそのニュースソースがSlashdot.jpのトピックであったというのは我ながら何ともアレゲです。電車に乗りに田園都市線の駅まで行ってみるとダイヤはかなり乱れてしまっているようでしたが、列車自体は運行されていたので特に困るようなことはありませんでした。

ちょうど停電発生時にエアコンも停止してしまった狭い車内に閉じこめられてしまった方のことなどを考えると御愁傷様とでも言うほかありませんが、特に交通事故も発生することもなく人的被害がなかったのは盆休みであったからこそとはいえ、日本人の賢明さに感心してしまいました。大規模テロに対する首都東京の弱点を露呈したなどとも言われていますが、他の民度の低い国ほどの混乱を招かずに済みそうでほっとしました。もちろんさらに規模が大きくなるとどうだかはわかりませんし、対策は周到に練っておく必要はありますね。

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