Fantastic Beasts and Where to Find Them - Eddie Redmayne as Newt Scamander魔法生物がNo-Majに知られていないのはなぜ?

今週末は東京で私の中学校の同窓会があったため、金曜日に休暇を取って東京の親元に泊まってきました。自宅から東京に行くにはやはり新幹線が一番楽なのですが、出張などでいつも乗っているので面白みがありませんし、ちょっと高いです。いっそのこと丸一日かけて普通列車で行くのも面白いのではないかとも思ったのですが、それなら青春18きっぷが使えるときでないとそれほど安くもないのでもったいない気がしてしまいます。かと言って夜行バスは疲れてしまいますし…ということで結局、早めに予約すればだいぶ安く利用できるスカイマークで行くことにしました。飛行機で行くというと「贅沢な」と思われがちですが、実際には新幹線よりも数千円は安く上がります。

ということで金曜日の午後早いうちに東京に到着する便が予約できたので、夕食までの間にちょっと遊びに行こうと思ったのですが、結局映画を観に行くことにしてしまいました。しかしせっかく東京で観るのですから、地元にはないものということでTOHOシネマズ新宿の「プレミアボックスシート」を体験してみることにしました。このシートは大きくフカフカの革張りシートと、左側に荷物や上着の置き場、そして左右を仕切る衝立からなっていて、左右の気配に邪魔されることなく映画に集中できるものです。通常の料金に対して追加料金が1000円となっていますが、一人で映画に没入したいという人にはいいと思います。しかし、私が見ているときにもカップルで利用している人がいましたが、衝立で隣の席は見えないようになっているのでデートにはカップルシートなどの方がいいでしょう。

それはさておき、私が今回観たのはハリー・ポッターシリーズの新作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」です。この作品は「ハリー・ポッターと賢者の石」の作中で教科書として登場する書物「幻の動物とその生息地」を原作としたもので、この本の著者とされるNewt Scamanderが主人公として描かれています。

幻の動物とその生息地(静山社ペガサス文庫) (ハリー・ポッター)

本作の舞台となっているのは1926年のアメリカ、ニューヨークで、Newtはイギリスからトランクを片手に訪れますが、このトランクの中身が騒動を巻き起こすことになります。今回は舞台を米国に移し、また時代も遡ったことで、これまで8作続いたシリーズから空気を入れ替えることに成功しているようです。また、同じ英語が使われているようで実は違う、ということをネタにしているところもあり、例えばイギリスではMuggleと呼ばれている「魔法使いでない人」のことを、アメリカではNo-Majと呼んでいることになっているのですが、そのひねりのないところが実にアメリカらしくてリアルです。
Fantastic Beasts and Where to Find Them - Jacob, Newt and Tina
主人公のNewtを演じているのは、「HICK ルリ13歳の旅」でEddieという青年の役で怪演を見せていたEddie Redmayneですが、今作ではこのEddieがとてもいい演技で、彼のおかげでこの作品が一際良いものになっているのではないかと思います。HICKにしろ「リリーのすべて」にしろ決して二枚目とはいえない役柄で名演を見せていることもあり、現代で一番の若手個性派俳優と言って良いでしょう。といっても私はまだ「リリーのすべて」を観ていないので、可及的速やかに観ておきたいと思います。

ヒロインのTina Goldsteinは後にNewtの妻になる人ですが、それを演じるのはKatherine Waterstonです。若干影のある表情が印象的ですが、「スティーブ・ジョブズ」でJobsのガールフレンドであったChrisann Brennanの役で登場していたときも、どことなく不幸せそうな表情でヒステリック気味な様子で、こちらもまた個性的な女優なのかもしれません。間違いなく綺麗な人ですし、笑顔はとても素敵なのですけどね。ちなみにKatherineは来年公開される「プロメテウス」の続編、「エイリアン: コヴナント」の主役となっているようですので、こちらも気になるところです。
Fantastic Beasts and Where to Find Them - Bowtruckle
またNewtに絡むNo-Maj、Jacob Kowalski役のDan Foglerはどこかで見たと思ったら「ファンボーイズ」に出演していたのでした。この作品には彼のようなキャラクターが必要ですから、まさに適役だったというわけです。

この作品の見所の一つはたくさん登場する魔法生物たちでしょう。もちろんそれぞれ魔法の力を持った個性的な生物なのですが、それらを映像的に作り上げるのも大変だったことでしょう。しかし、どうしても感じてしまうのは、なぜ我々が知っている生物とは似ても似つかないものだったりするのか、一方なぜ人間の魔法使いはあくまで人間なのか、ということです。そういう理屈っぽいことを考えてしまってはいけないのかもしれませんが、私はここにやや引っかかるものがあります。

このほか字幕にいくつか誤訳があったりもしてそれも気にはなりましたが、全体的な作品としてはあの「ハリー・ポッター」シリーズの新作にふさわしい、非常に楽しい作品になっていることは間違いないと思います。この新シリーズは5部作となる予定らしいので、今から続編が楽しみです。